1啓蒙主義時代のウィーン

 女帝マリア・テレジアとその息子、皇帝ヨーゼフ2世が統治した1740年代から90年代のハプスブルク帝国の首都ウィーンでは、啓蒙主義に基づいた社会の変革が行われました。理性や合理主義に基づき、社会の革新を目指す啓蒙主義の思想がウィーンに入ってきたのは、他のヨーロッパ諸国に比べ早くはありませんでしたが、この思想の熱烈な支持者であったヨーゼフ2世は、宗教の容認、死刑や農奴制の廃止、病院や孤児院の建設など、行政や法律、経済、教育においてさまざまな改革を実行しました。ウィーンは、自由な精神をもつ知識人たちを魅了し、彼らの交流の場となることで、ヨーロッパ文化の中心地へと変貌を遂げていったのです。
マルティン・ファン・メイテンス
《幼いヨーゼフ2世を伴ったマリア・テレジア》
1744年 油彩/カンヴァス
ウィーン・ミュージアム蔵 ©Wien Museum  / Foto Peter Kainz
マルティン・ファン・メイテンス 《マリア・テレジア(額の装飾画:幼いヨーゼフ2世)》 1744年 油彩/カンヴァス ウィーン・ミュージアム蔵 ©Wien Museum / Foto Peter Kainz

2ビーダーマイアー時代のウィーン

 ナポレオン戦争終結後の1814年には、各国の指導者たちが集まったウィーン会議が開催され、ヨーロッパの地図が再編されます。以降、1848年に革命が勃発するまでの期間は、「ビーダーマイアー」と呼ばれます。当初、家具の様式を指す言葉でしたが、やがてこの時代の生活様式全般と精神構造を表すようになりました。急激な都市化と政治的抑圧が強かったこの時代、それに対する反動として、人々の関心は「私的な領域」へ向けられます。あらゆる著作物に対し検閲が実施されるという抑圧された環境の中、画家たちがテーマとして選んだのは、日常生活やのどかで親しみやすい都市や農村の風景画でした。  世紀末芸術が花開いた1900年頃のウィーンでは、ビーダーマイアーが文化の着想源として参照されました。日常生活に実用的な美を見出すビーダーマイアーは、後にモダニズムのモデルとなったのです。
フリードリヒ・フォン・アメリング
《三つの最も嬉しいもの》
1838年 油彩/カンヴァス
ウィーン・ミュージアム蔵 ©Wien Museum / Foto Peter Kainz
フリードリヒ・フォン・アメリング 《3つの最も嬉しいもの》 1838年 油彩/カンヴァス ウィーン・ミュージアム蔵 ©Wien Museum / Foto Peter Kainz

3リンク通りとウィーン

 皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の治世の間(1848-1916年)に、ウィーンは帝国の近代的首都へと変貌を遂げます。人口は50万人から220万人にまで増加しました。  近代都市への変貌は、1857年に皇帝が都市を取り囲む城壁の取り壊しを命じ、新しいウィーンの大動脈となる、「リンク通り(リンクシュトラーセ)」を開通させたことに始まります。沿道には帝国の要となる建築物が次々と建設されました。  リンク通りは19世紀のウィーンの象徴(シンボル)であるといえます。1879年には画家ハンス・マカルト演出による皇帝夫妻の銀婚式を記念する盛大な祝賀パレードが開催されました。沿道には、古典主義様式の国会議事堂、ゴシック様式の奉献教会、ルネサンス様式の大学などさまざまな歴史主義建築の建物が立ち並び、さらに19世紀末にはウィーン分離派のメンバーによる建物も建設されました。
ハンス・マカルト
《1879年の祝賀パレードのためのデザイン画――菓子製造組合》
1879年 油彩/カンヴァス
ウィーン・ミュージアム蔵 ©Wien Museum / Foto Peter Kainz
ハンス・マカルト 《1879年の祝賀パレードのためのデザイン画――菓子製造組合》 1879年 油彩/カンヴァス ウィーン・ミュージアム蔵 ©Wien Museum / Foto Peter Kainz
ウィーンの都市計画、日本の映像技術で再現!
1857年、皇帝フランツ・ヨーゼフの命によって、ウィーンの旧市街を囲んでいた城壁が撤去されました。城壁の跡に整備されたリンク通り(リンクシュトラーセ)には次々に新しい建築が立ち並び、この通りを基点として閉塞的な中世都市は豊かな芸術を育む大都市へと変貌を遂げました。今回、ウィーン・ミュージアムが所蔵する19世紀に作られた精巧な都市模型を新撮し、この歴史的な都市計画を再現する映像を日本で制作します。DNP大日本印刷の高精細3Dデジタルアーカイブ技術でよみがえるウィーンの街の壮大な変遷を、本展でぜひご体感ください。
映像イメージ 制作:DNPアートコミュニケーションズ
映像イメージ 制作:DNPアートコミュニケーションズ
映像イメージ
制作:DNPアートコミュニケーションズ

41900年線世紀末のウィーン

 カール・ルエーガーがウィーン市長として活躍した時代(1897-1910年)には、さらに都市機能が充実します。路面電車や地下鉄など公共交通機関も発展し、建築家オットー・ヴァーグナーがウィーンの都市デザイン・プロジェクトを数多く提案しました。計画のみに終わったものもありますが、今日のウィーンの街並みは、実現されたヴァーグナーの建築によって印象付けられています。  絵画の分野では、1897年にグスタフ・クリムトに率いられた若い画家たちのグループが、オーストリア造形芸術家組合(ウィーン分離派)を結成しました。また、1903年には、工芸美術学校出身の芸術家たちを主要メンバーとして、ウィーン工房が設立されました。  ウィーン分離派やウィーン工房の重要なパトロンはユダヤ人富裕層でした。芸術家たちの実験的な精神や妥協のない創作が、この時代の数々の傑作を生み出したのです。
グスタフ・クリムト 《エミーリエ・フレーゲの肖像》 1902年 油彩/カンヴァス ウィーン・ミュージアム蔵 ©Wien Museum / Foto Peter Kainz
グスタフ・クリムト
《エミーリエ・フレーゲの肖像》
1902年 油彩/カンヴァス
ウィーン・ミュージアム蔵 ©Wien Museum / Foto Peter Kainz
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【アカウントリニューアルのお知らせ】
昨年、国立新美術館と国立国際美術館で開催したウィーン・モダン展。多くのお客様にご来場いただき誠にありがとうございました。
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さて、本アカウントは、国立新美術館で6月3日から開催する「ファッション イン ジャパン 1945-2020  ー流行と社会」展のアカウントとして4月よりリニューアルいたします。
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もんぺからKawaiiまで、世界が注目する日本ファッションの戦後から未来までを一挙にご紹介します。
どうぞお楽しみに!
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#国立新美術館
「国民を勇気づけたワルツの天才」
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ヨハン・シュトラウス2世は、ウィーンを中心に活躍した作曲家で、ワルツを数多く生み出し、ヨーロッパ中で絶大なる支持を得ました。
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代表曲の「美しき青きドナウ」は、1866年にドイツとの戦争に敗れ、意気消沈する国民を鼓舞するために作られましたが、いまでは誰もがどこかで一度は耳にしたことのある、ウィーンを代表する有名な曲ですね。
ウィーンの音楽を聴いて、時代背景を感じながらの美術鑑賞もおすすめです!
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明日4月27日、日本で唯一のベーゼンドルファー・アーティスト、久元祐子さんによるピアノコンサートを開催します!
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久元祐子ピアノコンサート
【日時】4月27日(土)18:00~ ※聴講無料
【場所】国立新美術館(東京・六本木)・1階ロビー
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ヴィクトル・ティルクナー≪作曲家ヨハン・シュトラウス(子)≫1894年 ©Wien Museum / Foto Peter Kainz

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「天使の歌声、ウィーン少年合唱団」
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世界的に有名なウィーン少年合唱団は、1498年に神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世が、宮廷礼拝堂少年聖歌隊として創設しました。かつては、シューベルトも団員だったという歴史のある少年合唱団です。
普段はウィーンのアウガルテン宮殿という宮殿の中で日常生活を送っていて、練習場も学校も宮殿内にあるそうです。
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明日4月26日、彼らが国立新美術館にやってきます!美しく清らかな歌声を是非お楽しみください。
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♪ウィーン少年合唱団トーク&コンサート♪
【日時】4月26日(金)18:45~ ※聴講無料
【場所】国立新美術館・1階ロビー(東京・六本木)

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読売新聞社の美術展

特別展「国宝 聖林寺十一面観音 -三輪山信仰のみほとけ」

報道関係のお問い合わせ先

  • 「ウィーン・モダン展」大阪展 広報事務局
  • <Nene Laco.(ネネラコ)内>
  • TEL:06-6225-7885
  • FAX:06-7635-7587
  • E-mail:art-pr@nenelaco.com
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