【作家・作品紹介】エゴン・シーレ《自画像》

エゴン・シーレ 《自画像》 1911年 油彩/板 27.5 x 34 cm ウィーン・ミュージアム蔵 ©Wien Museum / Foto Peter Kainz

オーストリアの表現主義者たちは、ドイツ表現主義として知られる、ベルリンの「ブリュッケ(橋)」やミュンヘンの「青騎士」のように〈集団〉としての結束力を持ちませんでした。しかし、彼らは共通して、表情や身振りの描写を通じ、描かれる人物の深い精神状態に目を向け続けてきました。シーレとココシュカは、共にクリムトから強い影響を受けまたが、新たな表現を獲得しようと自らの芸術世界に没頭しました。

シーレはわずか28年という短い生涯で、様々な形式を使って170回以上も自身の姿を遺しました。とりわけ1910年から11年にかけては、自画像が彼の作品テーマの中心となります。そのうちの一点が、この自画像です。額に深く刻まれた皺、彫りの深い目、まっすぐに伸びた指は、シーレの実際の容貌に忠実なものです。
目を凝らして見ると、頭部の左側には、人間の横顔にも似た輪郭線を持つ陶器製のポットが置かれています。こうした表現には、ポール・ゴーギャンの《黄色いキリストのある自画像》(パリ、オルセー美術館)からの影響が指摘され、シーレが象徴主義を意識していたと解釈できます。影のようにも見える横顔を絵に潜ませ、社会や自分自身に対する考えを反映させながら、シーレはヤヌスの顔として自らの姿を描いたのです。
背後には、描き始めたばかりの絵画、あるいはウィーン工房のテキスタイルを想起させる平面がいくつも描かれています。

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