【BOOKS】大岩オスカールさんが絵本「はじめてアート」を出版 「アートは生活の中にある」 子どもも大人も楽しめるアート入門書

NYを拠点に米国、中国、台湾、韓国、日本などで、油絵、デジタルペインティング、インスタレーション等、多彩な活躍を見せる大岩オスカールさんが、今度は日本語で子供向け絵本「はじめてアート」(Case)を出版しました。

㉓メディアアート(「はじめてアート」から)

 本書は、1995年に刊行した同名の絵本に、「メディアアート」「目をつぶると世の中は音にかこまれている」など新しいページを多数加えてヴァージョンアップしたものです。

「アートってなんだろう」「だれがいいアーティスト」「みんなができる」など27項目で構成され、主人公の10歳の男の子が、クレヨンやボールペンで絵を描いたり、ミュージアムに行ったりしながら、身の回りのあるものでアートを作り、楽しむ様子を描いています。

⑤みんなができる(同書から)

 「アートってなんだろう」のページでは、「たのしいことやたいへんなことがあったとき かんがえる力が合わさってできるもの(中略)ぼくの家のなかにも アートがたくさんあるよ」と、主人公の男の子が語ります。

子供に向けた易しい言葉ながら、アートの真髄について考えさせられる内容です。

②アートってなんだろう(同書から)

巻末には、各ページのヒントになっている画家や作家の解説が一覧にまとめられ、大人が読んでも十分に楽しめる本格的なアート入門書になっています。

解説(同書から)

28年ぶりに絵本を書き下ろした大岩さんは、「30年近く経ち、あの頃の子供たちが子を持つ世代になった。通信技術の発達などで子供たちを巡る環境も大きく変わり、『はじめてアート』も、その子供たちに向けて、ヴァージョンアップしたくなった」と語ります。

「次は、また30年後に『はじめてアート』をヴァージョンアップしたい。どんな世界になっているか楽しみ」と語る新作の作品の前で語る大岩オスカールさん(東京・代官山のアートフロントギャラリーで)

今の子供を巡る環境については、「携帯で簡単に写真が撮れるようになり、セルフィ―など自分で表現し、発信する機会も増えたが、実際に筆をとって絵を描いたり、手を使ってモノを作る機会は減っているかもしれない」と指摘します。

 

一方で、「ネットで僕の作品を見て、好きになったとメッセージをくれる子供もいる。デジタル時代ならではのアートの楽しみ方や可能性もあると思う」と、大岩さんは言います。

 

最後に大岩さんは、「アートは決して特別なものではなく、普段の生活の中にある。恥ずかしがらずに、自由に描いて、作って、思い思いのアートを楽しんでほしい」と子供たちにメッセージをくれました。

 <購入方法>

定価は4,000円(税込み)。購入は全国の書店やオンライン(https://www.shashasha.co/jp/book/art-for-the-first-time)から。

東京・代官山で開催中の個展「My Ring」(https://artfrontgallery.com/exhibition/archive/2023_03/4796.html528日まで)、同じく代官山で開催中のグループ展「Echos from New York!」(https://lurfmuseum.art/blogs/current-exhibitions/group-exhibition612日まで)の会場でも購入できます。

 *書影はいずれもCase提供

(美術展ナビ編集班)