週末いきたい 後期展示の美術展・展覧会9選 ガラス、明治、国宝、家康、織田、猫など

今週の「週末いきたい」は、後期展示の展覧会を紹介します。上の写真は、「吹きガラス」展の後期展示が5月24日から始まったサントリー美術館の受付ですが、ガラス製なのですね!

「吹きガラス 妙なるかたち、技の妙」サントリー美術館

ガラスの作品では1点だけ後期からの登場となるのが、サントリー美術館の所蔵品でも人気の「紫色藤蒔絵蕪形徳利」です。一見、黒い漆工品にも見えますが、よく見るとほのかに透き通っています。ぜひ、実物を会場(第3章)でご覧ください。

(中央)「紫色藤蒔絵蕪形徳利」日本 1825(文政8)年頃 サントリー美術館蔵 ※特別な許可を得て撮影

本展では、東地中海沿岸地域で誕生した初期の吹きガラスの瓶や、透明で驚くべき技が随所に見られる16~19世紀のヨーロッパの吹きガラス、把手(とって)にいたるまですべてガラスで作られた江戸時代の「ちろり」など、国内外の吹きガラスの優品が並びます。

下の写真の「藍色ちろり」(サントリー美術館)など、全5章の各章で撮影可能の作品があるので、吹きガラスの長い歴史と多様な姿を、鑑賞後も見直すことができます。6月25日まで。

「藍色ちろり」日本 18世紀 サントリー美術館蔵

「明治美術狂想曲」 静嘉堂@丸の内

6月4日まで静嘉堂@丸の内(静嘉堂文庫美術館)で開催されている「明治美術狂想曲」は5月10日から後期展示になっています。激動の明治時代だからこそ生まれた、伝統と革新を併せ持つ作品のパワーは今見ても色あせません。

松本楓湖「蒙古襲来碧蹄館図屏風」明治28年(1895) 静嘉堂文庫美術館蔵 【後期展示】※特別な許可を得て撮影

展示ではありませんが、ミュージアムショップで新たに販売が始まったグッズにも注目です。河鍋暁斎の代表作「地獄極楽めぐり図」(展示中)を80%のサイズで複製した『とことん鑑賞 地獄極楽めぐり図』(5,000円)が5月18日から発売開始。全40図を収めた画帖に、別冊の解説本、さらに柴田是真作の箱を模した帙(カバー)に入った豪華本です。

※特別な許可を得て撮影

また静嘉堂文庫美術館といえば、国宝「曜変天目(稲葉天目)」(展示中)ですが、夏の新しいグッズが登場。絹100%の京友禅「アロハシャツ 曜変天目」です。こちらの価格は3万9600円です。

※特別な許可を得て撮影

「大名茶人 織田有楽斎」京都文化博物館

織田信長の弟にして茶人として名高い織田長益(有楽斎)の400年遠忌を記念する特別展「大名茶人 織田有楽斎」(京都文化博物館、6月25日まで)は5月23日から後期展示が始まりました。後期からは、有楽斎が所持したことのある国宝の短刀「無銘 貞宗(名物寺沢貞宗)」が展示されています。

国宝 短刀 無銘 貞宗(名物寺沢貞宗)(文化庁蔵)※特別な許可を得て撮影

有楽斎は、美術や建築ファンには国宝茶室「如庵」で有名ですが、戦国時代のファンであればあるほど、本能寺の変で逃げた男として、どちらかと言えばマイナスのイメージを持たれているのではないでしょうか? 本展では、それが作られたイメージで、実際には本能寺の変後も、茶道を通じて武人としても政治的にも重要な役割を持ち続けたことが明らかにされます。

「どうする家康」 三井記念美術館

大河ドラマ「どうする家康」は三方ヶ原の戦いを終えて、新たな激動の時代へと舞台が移っていますが、大河ドラマ公式の展覧会「どうする家康」(三井記念美術館、6月11日まで)も、5月16日から後期入りしています。後期からはこちらも国宝の貞宗が登場。三井記念美術館が所蔵する国宝の短刀「無銘貞宗(名物 徳善院貞宗)」です。ほかにも後期では、「内府ちがいの条々」(大阪歴史博物館蔵)は家康ファンのみならず三成ファンも必見です。

「大蒔絵展」 徳川美術館

名古屋市の徳川美術館で5月28日まで開催されている「大蒔絵展」は、期間中14件の国宝のうち5件が展示されている終盤の今が注目です。平安時代の王朝美の最高峰「源氏物語絵巻 柏木一」(徳川美術館蔵)をはじめ、阿須賀神社伝来「松椿蒔絵手箱」(京都国立博物館蔵)、「宝相華蒔絵経箱」(延暦寺蔵)、神宮寺伝来「蓮唐草蒔絵経箱」(奈良国立博物館蔵)、幸阿弥長重作「胡蝶蒔絵挟箱」(徳川美術館蔵)という豪華なラインナップです。

「大阪の日本画」東京ステーションギャラリー

5月24日に「ぶらぶら美術・博物館」で放送されたばかりの「大阪の日本画」(東京ステーションギャラリーで6月11日まで)も5月16日から後期になっています。がらりと違うと言えるほどの展示替えがあります。前期を見た方も新鮮な気持ちでリピートできそうです。

「幕末土佐の天才絵師 絵金」あべのハルカス美術館

強烈な絵柄、そして高知の夏祭りの雰囲気が再現されている展示空間も話題の「幕末土佐の天才絵師 絵金」(あべのハルカス美術館で6月18日まで)は5月23日から後期に入っています。

「エドワード・ゴーリーを巡る旅」 渋谷区立松濤美術館

独特な世界観から「大人のための絵本」として人気の絵本作家の回顧展「エドワード・ゴーリーを巡る旅」(渋谷区立松濤美術館)が5月9日から後期に入っています。6月11日まで。

「江戸にゃんこ」 太田記念美術館

太田記念美術館で5月28日まで開催の「江戸にゃんこ 浮世絵ネコづくし」は前期・後期ですべて展示替えされました。


(読売新聞デジタルコンテンツ部美術展ナビ編集班 岡本公樹)