【図録開封の儀】「ポケモン×工芸―美とわざの大発見―」工芸を極めた作家が表現する個性的なポケモンが味わえる! ファン必携の1冊

ポケモンと工芸がコラボしたことで話題を呼んだ「ポケモン×工芸展 ―美とわざの大発見―」 が6月11日(日)まで国立工芸館(石川県金沢市)開催されています。本展の公式図録(東京美術)は、展覧会図録としてはもちろん、ポケモンファンのコレクターアイテムとして、また工芸の入門書として非常に優れた一冊です。
本書では、ポケモンという共通のテーマのもと、陶磁、漆工、染織、金工、木工、ガラス など各分野で活躍する工芸作家20名が本展のために手掛けた約70点を収録しています。各作家を約6ページにわたって紹介。まず最初に作品を大きく魅力的に写し出し、さらに解説パートが続きます。


この解説文をぜひ読んでいただきたいのです。ポケモンというお題を与えられた作家たちが、仮想の動物たちに対してイメージを膨らませ、苦心を重ねながら制作へと繋げていく過程が豊富なビジュアルとともに詳しく取り上げられています。各作家のアトリエ内での制作風景も丁寧に取材され、制作途中のメイキングシーンや下絵、資料、制作のための工具類なども紹介されています。

伝統的な工具から、コンピュータ や3D CAD 等、最新の機器を駆使した制作手法まで、各作家が工夫を重ねて編み出した多様な制作プロセスには目を見張りました。読者は「展覧会の舞台裏」を垣間見ているような面白さも感じられるでしょう。

また、「ポケモン」を通して工芸に初めて触れる初心者にも配慮されており、「自在置物」 「木象嵌」 といった専門用語なども、解説文の中で丁寧に説明されているのも嬉しいところです。
各作家の作品制作にかける想いやこだわりが可視化された良書です。展覧会の予習・復習はもちろん、作品を深く読み解きたい人には手放せない一冊となっています。また、残念ながら展覧会に足を運ぶことが叶わなかった人も、紙上で作品の素晴らしさを体感できるでしょう。
定価は3300円。購入は書店や、東京美術のホームページ から各オンライン書店で。
(ライター・齋藤久嗣)
ポケモン×工芸展―美とわざの大発見― |
---|
会場:国立工芸館(石川県金沢市出羽町3-2) |
会期:2023年3月21日(火・祝)~6月11日(日) |
開館時間:午前9時30分~午後5時30分 *入館は閉館の30分前まで |
休館日:月曜日(ただし5/1は開館)、5/14(日) |
観覧料:一般 900円、大学生 500円、高校生 300円、中学生以下、障害者手帳をお持ちの方と付添者1名 無料 |
詳しくは(https://www.momat.go.jp/cg/)へ。問い合わせは050-5541-8600(ハローダイヤル)へ |