【開幕】「細川家の茶道具 ―千利休と細川三斎―」永青文庫で、7月17日(月・祝)まで

永青文庫でも人気の高い茶道具展が5月20日から、7年ぶりに開かれます。開幕前日に行われたプレス内覧会に伺いました。
まずは、わび茶の大成者・千利休(1522-1591)と、利休の高弟で「利休七哲」の一人に数えられた細川家2代忠興(三斎、1563‐1645)にまつわる貴重な品が展示されます。

「唐物尻膨茶入 利休尻ふくら」は利休が所持していたと伝えられる茶入れです。かねてから三斎が「利休尻ふくら」を強く望んでいたのを、2代将軍の徳川秀忠が覚えていて、関ヶ原合戦の手柄として授けたとされています。

竹花入は利休によって広まり、利休に倣った茶人たちが自ら創作しました。三斎の竹花入は永青文庫に4点所蔵されていますが、いずれも花を生ける窓が二つある二重切花入です。三斎は肉厚の竹で、やや前にせり出したフォルムが好みでした。

この茶碗は、器の欠損部分を異なる材質のもので継ぎ合わせる「呼継」という修復技術を使っています。大きく欠けた口縁部に染付の磁器片がはめ込まれています。織田信長の弟、有楽斎(1547~1621)の好みで継がれ、三斎が所持していたと文献に残っています。
続く3階では、利休、三斎以降も、細川家で代々たしなまれてきた茶道具が解説とともに展示されています。

こちらの「筒釜」は、釜を持ち上げるための三連の把手が特徴的です。江戸時代に入ると、このような独創的な形のものが作られるようになりました。

コバルトを主成分とした陶磁器の青色顔料の「呉州」で下絵付けした焼き物です。この水指は、三斎の代から継承されたものと伝えられています。

欧州に由来するとみられる円文のデザインから、元々は異なる用途で使われていた小型の容器を茶器に転用した可能性も考えられる一品です。西洋との交易が盛んになるなかで、茶の湯にも南蛮文化が取り入れたことがうかがえます。

茶と緑の釉を片側ずつに掛け分けた茶碗。銘の念八は28日を意味し、その日に入手したと伝えられますが、年と月については不明だそうです。

最後は、近現代の細川家四代(16代護立、17代護貞、当代護熙、護光)が手掛けた茶道具が展示され、現在にまで続く細川家の茶器に対する美意識を知ることができます。

そのほか2021年に発見された三斎が写した『風姿花伝』の一異本「花伝書抜書」紙背文書が初公開されるほか、生誕450年を記念して、細川家に縁の深い沢庵宗彭の墨蹟も特別展示されます。「放下着」はすべての執着、悟りまでも捨て去るべきであることを説いた言葉です。茶道具以外にも見どころは盛りだくさんです。(美術展ナビ編集班・若水浩)
令和5年度初夏展「細川家の茶道具 ―千利休と細川三斎―」 |
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会場:永青文庫 (東京都文京区目白台1-1-1) |
会期:2023年5月20日(土)~7月17日(月・祝) |
開館時間:10時~16時30分(入館は16時まで) |
休館日:月曜 ただし7月17日は開館 |
入館料:一般:1000円/シニア(70歳以上)800円/大学・高校生500円 |
詳しくは、永青文庫の公式サイトへ |
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