【開幕】「藤森兼明 絵画展」富山大和で5月23日まで

《アドレーション アヤ ソフィア》2022年

日本藝術院会員の洋画家で、米寿を迎えた藤森兼明さんの作品を代表するアドレーションシリーズや、郷土である富山県の祭りや自然を描いた新作を紹介する展覧会が、5月23日まで富山大和で開かれています。金沢と富山で百貨店を営む「大和」の創業100周年特別企画です。

《アドレーション アナウンスエーション》2019年

やはり目を引くのは、宗教画のような荘厳な背景の前に、ご自身のお孫さんをモデルとした女性を描く「アドレーション」シリーズです。顧問を務める日展や、理事長職にある光風会に出品され、古川美術館(名古屋市)などに所蔵されている130号の大作が並ぶ様子は圧巻で、神秘性を感じさせるイコンのようなバックと、圧倒的な画力で描かれた女性の存在感とのコントラストが印象に残ります。

《八尾おわら風の盆》
《八尾おわら風の盆》

本展のもう一つの特徴は、地元の富山を描いた作品です。昔ながらの街並みが残る富山市八尾地区で300年以上も続く「おわら風の盆」などの祭りが鮮やかに描かれています。

《チューリップの花》

藤森さんは砺波市の出身。「となみチューリップフェア」が行われる同市を中心に、富山県はチューリップの球根出荷量日本一を誇ります。

《浜黒崎の立山連峰》

富山市浜黒崎は松の名所として知られる海岸で、遠くに雄大な立山連峰が望めます。白エビやホタルイカなど富山ならではの食材が、豊かな自然の恵みであることを思い出させてくれます。

《夕映えのグランドキャナル》

これまでバックに金色を使うのは、大作だけだったそうですが、最近は風景画の背景にも取り入れるようになったそうです。88歳を迎えても、第一線で新たな試みを続けています。富山が生んだ偉大な芸術家のアウトラインを入場無料で知ることができる貴重な機会です。お近くの方はお見逃しなく。(美術展ナビ編集班・若水浩)

藤森兼明 絵画展
会場:富山大和6階ホール(富山市総曲輪3-8-6)
会期:2023年5月17日(水)–5月23日(火)
期間中無休
営業時間:10時~19時(最終日は17時閉場)
入場無料
詳しくは、同店HP