6年間の修復が終わった国宝「高雄曼荼羅」の開眼法要行われる。来年4月から「空海 KUKAI-密教のルーツとマンダラ世界」(奈良国立博物館)で一般公開

谷内弘照貫主と、国宝「紫綾金銀泥絵両界曼荼羅図」(高雄曼荼羅) 京都・神護寺蔵

高野山真言宗 遺迹ゆいせき本山高雄山 神護寺 (京都市右京区)に伝わる現存最古の両界曼荼羅りょうかいまんだら図で、空海自身が制作に関わったとされる国宝「紫綾金銀泥むらさきあやきんぎんでい絵両界曼荼羅図」(高雄曼荼羅)の6年間におよぶ修復が終わり、5月10日に同寺の金堂で、開眼法要が行われました。

国宝「紫綾金銀泥絵両界曼荼羅図」金剛界(高雄曼荼羅) 京都・神護寺蔵
国宝「紫綾金銀泥絵両界曼荼羅図」胎蔵界(高雄曼荼羅) 京都・神護寺蔵

高雄曼荼羅は、2024年4月13日(土)〜6月9日(日)に奈良国立博物館で行われる、生誕1250年記念特別展「空海 KUKAI -密教のルーツとマンダラ世界」で、修理後初めて一般公開されます。

国宝「紫綾金銀泥絵両界曼荼羅図」は、赤紫色の綾地に金銀泥で描かれた現存最古の両界曼荼羅で、高雄山神護寺に伝わることから「高雄曼荼羅」の名で知られています。空海が唐で師匠の恵果から授けられた曼荼羅の図様をもとに、淳和天皇の御願により天長年間(824~833年)に描かれたとされています。空海自身が直接制作に関わった現存する唯一の両界曼荼羅です。

国宝「紫綾金銀泥絵両界曼荼羅図」胎蔵界[部分](高雄曼荼羅) 京都・神護寺蔵
花鳥円文をあしらう綾地の巨大な画面に、金銀の流麗な線描で描き出される諸尊の端正な尊容が浮かび上がり、日本仏教絵画史上の最高傑作と称されます。谷内弘照貫主は「修復で明らかに見やすくなり、金が浮かび上がった」と話します。

参道から見上げる緑深い神護寺の門

2016年から始まった高雄曼荼羅の修復事業は、 6 年の歳月を経て 2022年3月に終了。 金剛界、胎蔵界2幅の曼荼羅が同時にそろって神護寺金堂内でお披露目されるのは、寛政5(1793)年の光格天皇による修理後初めてで、約230年ぶりとも言われています。(美術展ナビ編集班・若水浩)