【プレビュー】「出来事との距離―描かれたニュース・戦争・日常」展 表現できること、をめぐるアーティストと現実のせめぎ合いに注目  町田市立国際版画美術館で6月3日開幕

「出来事との距離―描かれたニュース・戦争・日常」展
会場:町田市立国際版画美術館(東京都町田市原町田4-28-1)
会期:2023年6月3日(土)~7月17日(月・祝)
休館日:月曜日 *ただし7月17日(月・祝)は開館
観覧料:一般800円(600)、大・高生400円(300)、中学生以下無料
*( )は20名以上の団体料金
*6/3(展覧会初日)は無料
*6/28はシルバーデー(毎月第4水曜日は65歳以上の方無料)
*身体障がい者手帳、愛の手帳(療育手帳)または精神障がい者
保健福祉手帳をご提示の方と付き添いの方1名は半額
公式サイト:http://hanga-museum.jp/
問い合わせ:042-726-2771
篠原清興《栄城湾上陸后之露営》明治28年(1895)、大判錦絵三枚続、町田市立国際版画美術館蔵

ニュースや戦争を描いた作品に触れるとき、時代や立場によって表現できることが違うことに気づきます。また当事者として経験したことも、時が経ってからやっと伝えらえることがあるでしょう。

月岡芳年『魁題百撰相』より「森蘭丸」明治元年(1868)、大判錦絵、町田市立国際版画美術館蔵

例えば同時代の事件を描けなかった江戸期の浮世絵は、故事や古典になぞらえて時事を伝えようとしました。また自身の軍隊経験を描いた浜田知明は、時を経るにつれ戦争の構造に迫る作品も発表していきます。

フランシスコ・ゴヤ『戦争の惨禍』より「見るにたえない」1810-20年、エッチング、ラヴィ、ドライポイント、ビュラン、町田市立国際版画美術館蔵

展覧会ではこうした視点から当館収蔵品を紹介するとともに、若手アーティストたちの作品も展示。なかでも特集する松元悠は、メディアやSNSが伝えるニュースの現場を訪れて想像を働かせ、当事者の姿を自画像で描くことで、日常と地続きにある「事件と人間の不可解さ」に分け入ります。

松元悠《蛇口泥棒(長浜市、東近江市、砺波市)》2022年、リトグラフ、個人蔵
松元悠《悪い神様の耳を食べる(佐野市)》2020年、リトグラフ、個人蔵

本展を通じて過去、現在のアーティストが「出来事との距離」にいかに向き合ってきたかを探ります。

町田市立国際版画美術館

展示構成(予定)
1章 ゴヤが描いた戦争
2章 戦地との距離
3章 浮世絵の見立てと報道
4章 ニュースに向き合うアイロニー
5章 若手作家の作品から

主な出品作家(生年順)
フランシスコ・ゴヤ、月岡芳年、小林清親、畦地梅太郎、浜田知明、馬場檮男、石井茂雄、郭徳俊、松元悠、土屋未沙、小野寺唯、ソ・ジオ

出品点数(予定)
約150点

(美術展ナビ編集班)