【BOOKS】『国宝 普賢菩薩像 令和の大修理 全記録』(東京美術刊)東京国立博物館の至宝を100年後も見据えて修理した全軌跡

東京国立博物館が所蔵する国宝の中で、絵画の列品番号Aの1番を冠するのが国宝「普賢菩薩像」(平安時代)です。4月11日から5月7日まで本館2階の国宝室で展示されています。
トーハクを代表するこの国宝は、2019年6月から2022年3月まで約3年におよぶ本格的な解体修理がなされました。修理のすべての過程を詳細に記録した書籍『国宝 普賢菩薩像 令和の大修理 全記録』(監修・東京国立博物館)が4月15日、東京美術から刊行されました。

本書では、その美しい姿の全体だけでなく、ズームした写真で細部までじっくりと見ることができます。
新たに新調された表装具がどうして選ばれたのか、なぜこのデザインになったのかなどの「こだわり」を含め、修理の工程が詳細に写真つきで紹介されています。
1点だけの絵画について、1冊まるごと使って、さまざまな面から考察する本書は、文化財の修理に携わる人はもちろん、いま1点だけ展示されている国宝と相対して鑑賞する際にも、より多くの気付きや感動をもたらしてくれることでしょう。2970円。東博のミュージアムショップや東京美術のサイトから各インターネット書店で。
(読売新聞デジタルコンテンツ部美術展ナビ編集班 岡本公樹)