【プレビュー】「リサ・ラーソン展」松屋銀座で5月17日から 北欧スウェーデンの陶芸家の創造の全貌

北欧スウェーデンの陶芸家リサ・ラーソンの展覧会が松屋銀座で5月17日から6月5日まで開催されます。
可愛らしい動物や静謐な人物像の陶芸作品で、日本でもすっかりお馴染みとなったリサ・ラーソン。2014年以来、国内4回目となる本展では、これまでに日本では紹介されなかった珍しい1点ものを含め約250点の作品や資料を通して、リサ・ラーソンの創作の世界を明らかにします。
リサ・ラーソン展 知られざる創造の世界 ー クラシックな名作とともに |
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会場:松屋銀座8階イベントスクエア(東京都中央区銀座3-6-1) |
会期:2023年5月17日(水)~6月5日(月) |
休館日:会期中無休 |
開場時間:午前10時から午後8時*日曜日は午後7時30分まで *最終日は午後5時閉場*入場は閉場の30分前まで |
入館料:一般・大学生 1500円、高校生・中学生 700円、小学生 300円 |
詳しくは松屋銀座の公式サイトへ/td> |
1章 リサ・ラーソンの名作たち Classics
リサ・ラーソンの古典とも言えるような女性や子どもをモチーフにした人物像や、ネコ、イヌ、ライオンなどの動物フィギュアたちが並びます。リサ・ラーソンは長い作家人生のなかで、シリーズ生産向けのデザインモデルを数多く手掛けてきました。

2章 筆描きの妙 Brushwork
幾何学的なフォルムや有機的で、つるの巻きひげのような装飾は、特にリサ・ラーソンがグスタフスべリ社で仕事をしていた1954年から1980年にかけて繰り返し作品に用いられました。
歴史的な装飾技法が施された陶器や、紙に描かれたカリグラフィーの両方からインスパイアされたものと考えられます。グスタフスべリ社でシリーズ化されたいくつかの動物フィギュアのうち、イギリスの古典的なスタッフォードシャー・ドッグをイメージして制作された《ペアのプードル》がその一例です。

3章 スウェーデンの家屋 Houses
リサ・ラーソンにとって家は日常生活が営まれる喜びを感じられる場所、そして、安心感の象徴でした。リサ・ラーソンは動物や人物、そして建物も造形作品やレリーフのテーマとして頻繁に取り上げました。
本章では、建物のファサード(正面)を表現したレリーフ作品「旧市街」やレリーフ作品と関連するスケッチ、1980年代後期〜1990年代初頭にスウェーデンの建設会社BPA社のために限定生産された家のシリーズが紹介されます。

4章 丸形からのインスピレーション Roundels
ろくろで作られた作品は円い形となるように、円形はあらゆる陶芸家にとってスタンダードな形です。リサ・ラーソンもしばしば、丸形からインスピレーションをうけ、彫刻的で装飾的な飾りとして円形を用いました。


5章 マスメディアの中のリサ・ラーソン Lisa Larson in the Public Eye
リサ・ラーソンはデビュー以来、その生活や作品が雑誌やインタビュー記事で広く紹介された作家でした。リサ・ラーソン自身のコレクションから出品された資料により、彼女と家族の生活が、スウェーデンのメディアで非常に注目されていたことが分かります。

6章 初期の作品(学生時代のリサ・ラーソン) Early Works
学生時代から造形やモチーフの研究を始めていたリサ・ラーソン。本章ではリサ・ラーソンが学生時代に制作した有機的かつ幾何学的な文様を使った装飾性豊かなミラーフレームや、グスタフスベリ社の工房で働き始めた最初の数年間に制作した炻器作品などがならびます。


7章 レア&ユニーク Rare and Unique
本展では、これまでに日本では紹介されなかった「まだ知られていないリサ・ラーソン」作品も紹介。1950年代に制作した唯一のエナメル絵画など希少な作品群が展示されます。


8章 新しい素材への挑戦 New Materials
リサ・ラーソンは陶芸家でありながら、今日まで様々な企業とコラボレーションして、陶器とは異なる素材を用いて製品を作ってきました。
1970年代にはガラス制作に取り組み、陶器とは異なる素材の透明感や重量感を取り入れ、レリーフ状の動物や薄い吹きガラスの器から、デカンタまで幅広く制作しました。

ガラス制作と並行して、ブロンズ塑像のデザインにも取り組みました。リサ・ラーソンのブロンズ作品は限定商品として鋳造され、今日ではコレクターが強い関心を寄せています。

9章 リサとグンナル — 芸術家同士の語らい Lisa & Gunnar — An Artistic Dialogue
1952年、リサはモダニズムの画家であり版画家のグンナル・ラーソン(1925-2020)と結婚しました。芸術家同士、お互いに影響を与え続けた二人の作品は、モチーフにおいても、ともに風景、人物、抽象的な模様を用いており、興味深い類似性を発見することができます。
それらの作品からは、70年余りにわたって築かれた二人のアーティストの互いに呼応し合う関係、そして、信頼に満ちた対話を感じ取ることができるでしょう。


(読売新聞デジタルコンテンツ部美術展ナビ編集班)