【動画】特別展「明治美術狂想曲」静嘉堂@丸の内で6月4日まで

特別展「明治美術狂想曲」が静嘉堂@丸の内で6月4日まで開かれています。江戸の技を引き継ぐ超絶技巧や西洋近代化の影響など、激動の明治美術の魅力と見どころを、担当学芸員の浦木賢治さんに教えてもらいました。
この展覧会「明治美術狂想曲」では、明治美術のダイナミックな動きなど、さまざまな動向を取り上げています。静嘉堂のコレクションに含まれている多様な明治美術の作品の中から、西洋風のものや伝統美術に回帰するものなど、色々な明治美術の動向を展示室でご鑑賞ください。
ご覧いただいている作品は、河鍋暁斎の「地獄極楽めぐり図」という作品。
江戸日本橋の小間物問屋の娘「田鶴」が14歳で早世してしまい その追善供養のために、暁斎が制作を依頼されたものです。
田鶴が阿弥陀三尊に導かれて、冥界から極楽へ到着するまでのプロセスを面白おかしく、江戸時代の狩野派の技術を用いながら明治時代に新たに走った汽車も参考に描く。そういった面白い作品になっています。
続いて幕末から明治にかけての超絶技巧を紹介します。
こちらは柴田是真による漆芸品。丼(どんぶり)の蓋ですが、どうでしょうか?
一見すると ただ黒い蓋のように見えますが、よくよく見ると、木目調に見えたり金属のように見えたりします。
実はこれ全て柴田是真が木目や金属の風合いを、すべて漆で表現しているのです。
明治28年に京都で開かれた、第4回内国勧業博覧会に出品された屏風絵は、三菱第2代社長の岩崎彌之助が当時の京都府知事の中井弘(開催前年に死去)から企画・提案されて、資金的な援助をした作品です。そのひとつ「龍虎図屏風」は当時の近代日本画の大家、橋本雅邦の代表作です。
最後の部屋になります。こちらの部屋で特にご覧いただきたい作品は黒田清輝の「裸体婦人像」という油彩画です。
この作品は1901年(明治34年)に黒田清輝がフランスにいる時に当地のモデルを使って描いた油絵の作品です。この作品がフランスから日本に持って来られて日本で展示をされた時に、全身ヌードの女性を描いているために下腹部、下半身に腰巻をされて、布で覆われて展示されました。その問題作でもあるわけです。
黒田清輝にとっては傑作の女性像でしたが、明治時代の日本人からすると少し卑猥な、猥褻な作品に見えて、腰巻をされてしまった。そういった問題作でもあるということです。ぜひ実物はご来館の上でご鑑賞ください。

特別展「明治美術狂想曲」 |
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会場:静嘉堂@丸の内(東京都千代田区丸の内2-1-1明治生命館1階) |
会期:2023年4月8日(土)~6月4日(日) 前期:4月8日(土)~5月7日(日)後期:5月10日(水)~6月4日(日) |
開館時間:10:00~17:00(金曜は18:00閉館。入館は閉館時間の30分前まで) |
休館日:月曜日、5月9日 |
観覧料:一般 1,500円、大学・高校生1,000円、中学生以下無料 *日時指定予約優先(当日券もあり) |
アクセス:地下鉄千代田線二重橋前〈丸の内〉駅 3番出口直結、JR東京駅丸の内南口より徒歩5分 |
詳しくはホームページで https://www.seikado.or.jp/ |
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(撮影・編集 読売新聞デジタルコンテンツ部 岡本公樹)