【プレビュー】古径と御舟、近代日本画に大きな足跡を残した2人を特集――山種美術館で特別展「小林古径生誕140年記念 小林古径と速水御舟 ―画壇を揺るがした二人の天才―」 5月20日開幕

特別展「小林古径生誕140年記念 小林古径と速水御舟 ―画壇を揺るがした二人の天才―」 |
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会場:山種美術館(東京都渋谷区広尾3-12-36) |
会期:2023年5月20日(土)~7月17日(月) |
休館日:月曜休館、ただし祝日の7月17日は開館 |
アクセス:JR恵比寿駅西口、東京メトロ日比谷線恵比寿駅2番出口から徒歩約10分 |
入館料:一般1400円、高校・大学生1100円、中学生以下無料(保護者の同伴が必要)ほか。 |
※前期(~6月18日)、後期(6月20日~)で一部展示替えあり ※詳細情報はホームページ(https://www.yamatane-museum.jp/)で確認を。 |
近代日本画の歴史に大きな足跡を残した小林古径(1883-1957)と速水御舟(1894-1935)。互いに尊敬し合い、切磋琢磨した仲でもあった2人をフィーチャーした展覧会である。古径の「生誕140年記念」でもあるこの展覧会では、古径の代表作である《極楽井》、《出湯》(東京国立博物館)に加え、5年ぶりに《清姫》全8面を一挙公開。また、御舟の作品は、重要文化財の《炎舞》(山種美術館)、《翠苔緑芝》、《牡丹花(墨牡丹)》などの名品が展示される。


11歳の年齢差がある2人だが、画業をたどると多くの共通点が見出せる。古径と御舟はともに歴史画・人物画から画業をスタートさせ、1914(大正3)年に再興された院展で活躍。大正時代半ば以降、同時期に細密描写による徹底した写実へと作風を変化させた。ともに実業家・原三溪からの支援を受けている。古径と御舟はそれぞれの渡欧体験を経て、古径は東洋画の「線の美」に目覚めて独自の画風を確立し、御舟は人物表現や水墨を基調とした花鳥画へと新境地を拓いた。


御舟は先輩画家である古径を「自分の信じた道を真直(まっすぐ)に歩んでいく」と称賛。古径も年下の御舟に対して「あれほど芸術に熱烈だった友のことを想うと尊敬の念にかられる」と述べており、互いに敬意を持って交流していた。古径が模写したと言われる御舟の作品が《桔梗》、2人が一緒に旅行した時の写生をもとに古径が制作した《弥勒》。早世した御舟の姿を描いた古径の《速水御舟(デスマスク)》(個人蔵)――。展覧会では、2人の交流を示す作品や言葉も紹介される。2人は互いに刺激を与え合いながら、時代の先駆けとなって活躍し、同時代や後世の画家たちに大きな影響を与えたのである。
(美術展ナビ取材班)
