週末いきたい!国宝が見られる美術展・展覧会 普賢菩薩から光琳の燕子花図、曜変天目・油滴天目、蒔絵、刀剣まで

今週の週末いきたい!のテーマは「国宝」です。昨年の「国宝 東京国立博物館のすべて」(国宝展)では東博が所蔵する89件の国宝すべてが期間中に展示されて話題となりました。記者も3回訪れて「東博国宝博士認定書」をもらいました(国宝カードの抽選は外れたようです)。60件くらいの国宝が一度に展示されていたので、一つひとつはあまりじっくりと観賞できなかったのですが、今、その国宝の一部が展示されています。

国宝「普賢菩薩像」東京国立博物館 国宝室

なんといっても、国宝展では2週間のみの展示だった国宝「普賢菩薩像」が東博本館の国宝室で4月11日から5月7日まで展示されています。国宝展は撮影不可でしたが、トーハクの常設展示(総合文化展)は基本的に撮影可で、普賢菩薩像もスマホやカメラにその美しい姿を収めている人がたくさんいました。また、国宝「円珍自筆書状(円珍関係文書)」(東博蔵)や国宝「太刀 古備前正恒」(文化庁蔵)なども4月4日から本館で展示されていました。

国宝「円爾宛印可状」 東福寺展

東博の平成館の特別展「東福寺」(5月7日まで)でも、4月4日から、東福寺の開山の円爾(えんに)に、師の無準師範が与えた修行大成の証明書である国宝《円爾宛印可状》(東福寺蔵)が展示されています。

国宝「世説新書」書道博物館

トーハクから15分~20分ほどの徒歩圏内(最寄りはJR鶯谷駅)にある台東区書道博物館にも足を運びました。2月の「週末いきたい!」でも「王羲之と蘭亭序」展を紹介しましたが、本展は展示替えされて、今は東博所蔵の国宝「世説新書 巻第六残巻 豪爽」が展示されています。国宝展で見たときは、文字史料だったためかあまり記憶に残っていませんでしたが、王羲之などと見比べることで、書としての美しさを堪能できました。入館料は500円です。会場撮影不可ですが、書道博物館が画像を提供してくれました。唐時代にひとつの頂点を極めたという楷書の美をご覧ください。

国宝「世説新書 巻第六残巻 豪爽」(巻頭部分) 中国・唐時代 東京国立博物館蔵

尾形光琳の国宝「燕子花図屏風」根津美術館

毎年、カキツバタが庭園で咲くこの時期に根津美術館で公開されるのが尾形光琳の代表作、国宝「燕子花図屏風」。今年も4月15日から始まる特別展「国宝・燕子花図屏風 ―光琳の生きた時代 1658-1716―」で公開されます。

国宝「曜変天目」静嘉堂@丸の内

特別展「明治美術狂想曲」が開催されている静嘉堂@丸の内では、国宝「曜変天目」(静嘉堂文庫美術館蔵)が昨年の移転オープン以来、引き続き展示されています。特別展は6月4日まで。当初は常設か?とも思いましたが、展示場所がちょっとずつ変わっているので、見られない時期もあるかもしれませんので、ぜひチェックしてみてください。

国宝「油滴天目」 泉屋博古館東京

東京では目にする機会が少なかった国宝2点が、泉屋博古館東京(六本木一丁目)で5月21日まで開催されている特別展「大阪市立東洋陶磁美術館 安宅コレクション名品選101」で観賞できます。国宝「油滴天目 茶碗」と国宝「飛青磁 花入」です。所蔵する大阪市立東洋陶磁美術館が修繕で長期閉館中のために実現した東京でのお目見えです。

国宝「青磁下蕪花瓶」原美術館ARC

別の国宝の青磁「青磁下蕪花瓶」(原美術館蔵)が4月26日まで群馬県の原美術館ARCの「青空は、太陽の反対側にある:原美術館/原六郎コレクション」で展示されています。

「親鸞展」 京都国立博物館

複数の国宝が展示されている展覧会としては、京都国立博物館で開催中の「親鸞聖人生誕850年特別展「親鸞-生涯と名宝」も会期中に国宝11件が展示され、注目です。

智積院宝物館オープン

京博のすぐそばの智積院では、宝物館が4月4日にリニューアルオープンし、長谷川等伯一門の国宝障壁画が展示されています。今年1月まで、東京のサントリー美術館で「京都・智積院の名宝」で披露された美の世界が、新しい施設でどのように展示されているのか、楽しみですね。

大蒔絵展 徳川美術館

名古屋市の徳川美術館で4月15日に始まる「大蒔絵展」は、静岡(MOA美術館)、東京(三井記念美術館)に続くグランドフィナーレです。徳川美術館でしか展示されないものも含めて国宝14件が出展されます。下のプレビュー記事で国宝の展示スケジュールをまとめています。名古屋だけでなく関西など西日本のみなさんも、ぜひチェックしてみてください。

特別展「東日本大震災復興祈念 悠久の絆 奈良・東北のみほとけ展」東北歴史博物館

会期中に国宝12件を含む奈良と東北の寺宝が展示される特別展「東日本大震災復興祈念 悠久の絆 奈良・東北のみほとけ展」が東北歴史博物館(宮城県)で4月15日から6月11日まで開催されています。

「いにしえが、好きっ!」歴博

千葉県佐倉市の国立歴史民俗博物館で5月7日まで開催されている企画展示「いにしえが、好きっ!」では、平安時代の鏡に細い線で仏の姿を刻む国宝「線刻釈迦三尊等鏡像」(泉屋博古館蔵)が展示されています。歴博のロビーには、東福寺の国宝「三門」の構造がわかる大型の模型も展示されています。

細川家の国宝刀剣4口 永青文庫

刀剣ファンでは、国宝「古今伝授の太刀」や国宝「生駒光忠」など国宝刀剣4口を含む細川コレクションが並ぶ永青文庫(東京・目白台)の「揃い踏み 細川の名刀たち」が注目されています。1月に始まりましたが、いよいよ会期はGWの5月7日までです。


ゴールデンウィークにはほかにも注目展が続々と開催されますので、見ておきたい国宝がないか、参考にしてみてください。

(読売新聞デジタルコンテンツ部美術展ナビ編集班 岡本公樹)