【プレビュー】特別展「海 ー生命のみなもとー」 海のなりたちと私たち生物との関わり 過去・現在・未来を探る 国立科学博物館で7月15日開幕

特別展「海 ―生命のみなもと―」
Special Exhibition The OCEAN -The Origin of Life
会場:国立科学博物館(東京・上野公園)
会期:2023年7月15日(土)~10月9日(月・祝)
開館時間:9時~17時(入場は16時30分まで)
休館日:9月4日(月)・11日(月)・19日(火)・25日(月)
主催:国立科学博物館、海洋研究開発機構、NHK、NHK プロモーション、読売新聞社
協賛:光村印刷
詳しくは展覧会公式サイト
公式ツイッター: @umiten2023
問い合わせ: 050-5541-8600(ハローダイヤル) 03-5814-9898(FAX)
アクセス: JR「上野」駅(公園口)から徒歩 5 分
東京メトロ銀座線・日比谷線「上野」駅(7番出口)から徒歩 10 分
京成線「京成上野」駅(正面口)から徒歩 10 分
巡回予定:【名古屋展】2024年・春、名古屋市科学館(愛知・名古屋市)

海と生命の関わりを探り、未来を考える

海は、水惑星地球の象徴であり、地球上のあらゆる生命のみなもとです。海は、様々な物質とエネルギーを運び、そこに成り立つ生態系を育んできました。また、私たち人類は、海のめぐみを享受すると同時に、海の厳しさを乗り越えることで繁栄してきました。そして現代では、人間活動に伴う環境への影響が、海でも様々な変化として顕在化しています。
2013年及び2017年に国立科学博物館で開催した特別展「深海」では、極限環境である深海を探査する人々の挑戦や、そこで暮らす様々な深海生物や深海研究を紹介しました。そして2023年夏、私たちの身近にある「海」の誕生から現在について、多様な生物や人と海の関わりを紹介し、さらには海との未来を考えていく特別展が開催されます。海で生まれ、進化し、海のめぐみとともに生きてきた生物の姿を知ることで、私たちが今後どのように海と関わっていけばいいのか、そのヒントも見つかるかもしれません。

特別展「海」会場イメージ

特別展「海」では以下の4つのポイントをクローズアップし、展示構成します。

*どうして地球には水があるの? 海の誕生と生命の起源に迫る。
*日本の海は世界の海の縮図?! 多様な生物を育む日本の海を解き明かす!
*旧石器時代から海洋開発の最前線まで―― 人類は、いかにして海からめぐみを得てきたのか。
*人類が海に与えている影響とは? 海の今と向き合い、海の未来を考える。

章構成に沿って、主な展示を紹介します。

第1章 海と生命のはじまり

そもそも、地球になぜ海が存在するのかを理解するためには、地球における水の起源を解明しなくてはなりません。地球の水の起源物質は、小惑星「リュウグウ」から得られた試料の分析から多くの新知見が得られつつあります。
本章では、始原的隕石から太陽系惑星に至る水の起源、地球史における海の誕生と進化、そこで育まれた現在の私たちにつながる初期生命の生態系について最新の研究成果と標本を使って紹介します。

《約40億年前の深海熱水活動域を再現したジオラマ展示イメージ》
《シーラカンスのなかまの化石》 所蔵:豊橋市自然史博物館

第2章  海と生き物のつながり

日本列島周辺の海は、現在の地球の海を特徴づける要素が、ほぼ全て揃っていると言われています。プレートの沈み込みに伴う海溝沿いの超深海から非常に活動的な火山列島などの沿岸域まで、多様な地形で構成されているためです。そして、そこを流れる世界最大規模の海流である黒潮は、単に海水の移動にとどまらず、エネルギーを輸送し、日本周辺の気候に影響を与え、陸上を含めた多様な生物を育んでいます。
本章では、日本列島周辺の海底を形作るプレート運動や火山活動などの活動的な地学現象、黒潮を含む海流が生み出す大規模な海洋循環を解説し、それらが生物の分布や多様性にどれほど影響し、大きな広がりが生まれているのかを紹介します。

高さ約 4.7m!ナガスクジラの上半身標本が会場に出現します。

《ナガスクジラ上半身標本(展示イメージ)》

黒潮と親潮が育む日本の海の豊かな生態系。多数の剥製や標本で解説します。

《ナミマツカサ》 写真:国立科学博物館
《ハナミノカサゴ》 写真:国立科学博物館
《マダラ》 写真:国立科学博物館

あの「大阪湾のマッコウクジラ」も

今年 1 月、大阪湾の淀川河口付近にマッコウクジラ(オス、体長 1469cm)が迷い込み、死亡後、海に沈められた一連の出来事は世間の大きな関心を集めました。国立科学博物館を含む調査チームは学術調査を実施し、このマッコウクジラから歯や胃内容物、寄生虫などの標本や研究資料を採取しました。
本展では、この個体の歯と胃内容物を展示します。歯を含む標本や研究資料から得られた研究成果により彼らの「今」を紹介します。

《調査のために船に下ろされたマッコウクジラ》 写真:国立科学博物館

第3章 海からのめぐみ

人類史における海とヒトの関わりは食料や貝殻を装飾品などとして利用することから始まりました。やがて外洋航海技術を発展させると、海を渡って新たな大陸や島嶼への移住を実現させました。特に島嶼では、多様かつ豊富な海産資源を利用する文化が生み出され、ヒトは海とより深く関わるようになりました。
現代では、海からのめぐみはさらに大きなものになっています。海運物流なしにはもはや人類の生活は成り立たちません。さらに人類は、北極海の活用や深海にある鉱物資源の回収まで見据えています。本章では、水産資源の利用にとどまらない様々な「海からのめぐみ」について人類史を通じて紹介します。

人類はどのようにして日本列島へ渡来したのか?3万年以上前の大航海を再現実験したプロジェクトを紹介します。

《3万年前の航海 徹底再現プロジェクトで使用された丸木舟》 所蔵:東京都立大学
《無人探査機「ハイパードルフィン」》 写真:海洋研究開発機構

第4章  海との共存、そして未来へ

人類は、これまで海から様々なめぐみを享受してきました。一方、近年では、人間活動に伴う環境変化が、海でもあらゆる形で顕在化しています。水産資源の枯渇、海洋酸性化、貧酸素化、そして海洋プラスチック汚染…。海で進行するこれらの変化を紹介するとともに、科学技術や我々一人一人の行動変容で、持続可能な形で海を活用していく取り組みについて紹介します。海のめぐみとともに生きてきた人類が、今後どのように海と関わっていけばいいのかを考えるきっかけとなることを期待します。

《クジラの胃から発見された海洋プラスチック》 写真:国立科学博物館

<本展監修者>
【国立科学博物館】田島木綿子(動物研究部 脊椎動物研究グループ 研究主幹)、谷健一郎(地学研究部 鉱物科学研究グループ 研究主幹)、藤田祐樹(人類研究部 人類史研究グループ 研究主幹)
【海洋研究開発機構】藤倉克則(地球環境部門海洋生物環境影響研究センター)、川口慎介(地球環境部門海洋生物環境影響研究センター)、野牧秀隆(超先鋭研究開発部門超先鋭研究開発プログラム)

(美術展ナビ編集班 岡部匡志)