【BOOKS】伊藤亜紗『感性でよむ西洋美術』自分の言葉と感性で作品を鑑賞するコツは?

作品を見たときの驚きや感動を伝えたいのに、「凄い」「やばい」といった言葉しか思い浮かばず、もどかしくなったことはないでしょうか。美術作品を見て、感じたことを的確な言葉で表現するのって本当に難しいですよね。

そんなときは、伊藤亜紗『感性でよむ西洋美術』(NHK出版)が特効薬になるかもしれません。自分の感性を生かしながら、作品を鑑賞して言葉にするスキルを磨くためにぴったりの入門書でした。

本書は大学生の少人数講義を紙上で再現したような、カジュアルな口語調で進行します。「ルネサンス」「バロック」「モダニズム」「キュビスム」「抽象画」と、西洋美術史のなかで代表的な5つの様式を順番に取り上げながら、掲載された約40点の絵画を解説していきます。

筆者は、感性を磨くには、直感を鍛えるのではなく、むしろ「言葉をしっかり使うこと」が大切だと説きます。言葉の使い方が上手になれば、感じ方もより深まるというわけです。そのため、本書は先生からの一方通行の講義ではなく、学生と先生の対話を重視。対話が、感性を言語化するためのプロセスの好例になっていることがわかります。また、各章の合間には、絵を見て感じたことを言語化するためのワークショップも掲載されています。

もうひとつ重視されているのが、比べる鑑賞です。筆者は、違いを言葉にすることで、感じ方と言葉の両方が深まっていくといいます。本書では、「ルネサンス」vs「バロック」、「抽象画」vs「具象画」など、異なる時代の作品同士を比べて鑑賞し、「どのように違うのか?」「なぜ違うのか?」に着目。各時代の美術の特徴や違いが際立たせながら、わかりやすく解説されていました。

約110ページと手に取りやすいボリュームで、難解な専門用語を使わずに書かれているので、初めてアートに触れる初心者でも安心して読めます。気軽に持ち運べるサイズ感も魅力的。西洋美術鑑賞の入門書としてオススメの一冊です。

定価は792円。購入はNHK出版の公式サイトや書店、各オンライン書店にて。

(ライター・齋藤久嗣)

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