【開幕】「ジョルジュ・ルオー - かたち、色、ハーモニー -」 「聖」も「俗」も包み込む造形と色彩の魔術 パナソニック汐留美術館で6月25日まで

左:《青い鳥は目を潰せばもっとよく歌うだろう》、通称《青い鳥》 1934年 個人蔵

パナソニック汐留美術館で始まった「開館20周年記念展 ジュルジュ・ルオーー かたち、色、ハーモニーー」。開幕前日の内覧会で取材しました。19世紀末から20世紀前半のフランスで活躍、最も革新的な画家のひとりとされたジョルジュ・ルオー(1871‐1958)の大規模回顧展です。世の聖も俗ものみこみ、重厚に塗り込んだ作品の数に、何度も足が止まってしまいました。『青い鳥は目を潰せばもっとよく歌うだろう』は意味深なタイトルも含めてとりわけ目を引きました。

キリストやサーカス、裁判官、娼婦などモチーフの選択が独特。終生「かたち、色、ハーモニー」にこだわり続けた画家の歩みを、ポンピドゥー・センターなど内外の名作でたどります。2つの世界大戦を経た画家だけに、戦争をテーマにした作品の痛切さは心に残ります。

著作からの引用があちこちに掲示されており、こちらも印象的。『20世紀最大の画家兼作家』との評があるのも頷けます。

最後のコーナーは一般の方も撮影可。後期の鮮やかな色彩の名作が揃います。長年にわたって描き直しを続けた『かわいい魔術使いの女』のマティエールなどは見ものです。ぜひ間近で見て、写真もどうぞ。

《受難(エッケ・ホモ)》1947‐49年 ポンピドゥー・センター、パリ/国立近代美術館
《クマエの巫女》1947年 パナソニック汐留美術館
《キリストとの親しき集い》1952年 パナソニック汐留美術館
《かわいい魔術使いの女》1949年 ポンピドゥー・センター、パリ/国立近代美術館

「ジョルジュ・ルオー ― かたち、色、ハーモニー ―」展は6月25日(日)まで。 開館20周年記念でパリのポンピドゥー・センターなど内外から傑作が集結。本邦初公開作品を含む約70点を通して、ルオーの造形の魅力に迫ります。概要は下記のプレビュー記事などもご覧ください。(美術展ナビ編集班 岡部匡志)


開館20周年記念展 ジョルジュ・ルオー - かたち、色、ハーモニー -
会場:パナソニック汐留美術館(東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階)
会期:2023年4月8日(土)~6月25日(日)
開館時間:午前10時より午後6時まで(入館は午後5時30分まで)
※5月12日(金)、6月2日(金)、6月23日(金)、6月24日(土)は午後8時まで開館(入館は午後7時30分まで)
休館日:水曜日(ただし5月3日(祝)、6月21日(水)は開館)
入館料:一般:1,200円、65歳以上:1,100円、大学生・高校生:700円、中学生以下:無料
アクセス:JR新橋駅より徒歩約8分など
問い合わせは050-5541-8600(ハローダイヤル)
詳しくは美術館のサイト(https://panasonic.co.jp/ew/museum/)で