【オペラ】新国立劇場開場25周年を記念するヴェルディの『アイーダ』出演者300人超の豪華絢爛な舞台!4月5日から

撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場

新国立劇場開場25周年記念公演
ジュゼッペ・ヴェルディ『アイーダ』
全4幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉
会場:新国立劇場 オペラパレス(東京・初台、京王新線「初台」駅直結)
公演日程:2023 年4月5日(水)18:00/8日(土)14:00/11日(火)14:00/13日(木)14:00/16日(日)14:00/19日(水)18:00/21日(金)14:00
上演約時間:約3時間50分
(第1幕45分 休憩25分 第2幕45分 休憩25分 第3幕35分 休憩20分 第4幕35分)
チケット料金: S:29,700 円 ・ A:24,200 円 ・ B:16,500 円 ・ C:11,000 円 ・ D:5,500 円・ Z:1,650 円
詳しくは新国立劇場WEBサイト:https://www.nntt.jac.go.jp/

新国立劇場開場25周年記念に『アイーダ』

新国立劇場開場25周年を記念し45日からヴェルディの大作『アイーダ』が上演されます。1998年に開場記念公演としてイタリア出身の映画監督・脚本家・オペラ演出家であるフランコ・ゼッフィレッリの演出・美術・衣裳で制作され、その後5年ごとに上演されてきました。新国立劇場といえば『アイーダ』と言われるほどの代表的プロダクションです。2023 年は、作曲家ジュゼッペ・ヴェルディ(1813-1901) 生誕 210 年であり、かつ演出家フランコ・ゼッフィレッリ(1923-2019)生誕 100 年でもあり、特別な節目の公演となります。開幕前の舞台稽古を取材しました。

撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場

古代エジプト、壮大な4幕の悲恋物語(あらすじ)

【第1幕】

舞台は古代エジプト。エジプト軍の若い将軍ラダメスと王女アムネリスに仕える奴隷アイーダは密かに愛し合っています。ラダメスはアイーダが敵国エチオピアの王女と知らず、アイーダはラダメスへの愛と祖国への想いに葛藤します。アムネリスはラダメスを愛しており、二人の関係を疑っています。
ラダメスは神託によってエチオピア征伐軍総司令官に任命され、人々は激励します。

撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場

【第2幕】

アムネリスはアイーダとのラダメスとの関係を疑い、アイーダに彼は戦死したと嘘をつきます。アイーダは動揺し、アムネリスは二人の関係に気付きます。

撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場

エジプト軍の勝利を祝う華やかな式典が行われ、ラダメス率いるエジプト軍の凱旋を迎えます。連れてこられた捕虜の中に、アイーダの父であり、エチオピア国王の身分を隠したアモナズロがいます。ラダメスは勝利の恩賞に捕虜の釈放を願い出て、アモナズロ以外は解放されます。エジプト王は、ラダメスにアムネリスと結婚し、国を治めるように命じます。

撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場
撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場

【第3幕】

夜のナイルの岸辺にアイーダがラダメスとの密会のためにやってくると、父アモナズロが現れて祖国のためにラダメスからエジプト軍の進路を聞き出すよう命じます。ラダメスが登場し、アイーダは一緒にエチオピアに逃げようと誘います。ラダメスは成り行きで軍の情報を流してしまい、謀反人として捕らえられ、投獄されます。

撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場
撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場

【第4幕】

アムネリスはアイーダを諦めるなら命を救うとラダメスに迫りますが、彼は拒否し、死刑を宣告され神殿の地下牢に生き埋めにされます。するとラダメスの前に牢に先回りしていたアイーダが現われ、二人は永遠の愛を誓いながら死を待ちます。地上ではアムネリスが死者の冥福を祈り続けます。

撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場
撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場

総勢300人超!舞台から溢れんばかりの大迫力

オペラ『アイーダ』は、開幕のラダメスの「清きアイーダ」、アイーダの「勝ちて帰れ」、そして第2幕の「凱旋行進曲」の迫力、第3幕の静かですが各人物の心情を豊かに表現する場面、最終場のアイーダとラダメスの二重唱「運命の岩がとざされた」と、見どころ聴きどころ満載です。

何といっても第2幕の凱旋の場の大迫力の音と視覚の大スペクタクル!豪華絢爛という言葉はこのためにあるのでは! 総勢 300 名もの出演者が所狭しと、歌手、合唱、バレエ、助演俳優などそれぞれの持ち場を演じ、息もつかせぬ場面となっています。一瞬のまばたきさえも惜しむほどです。演出の素晴らしさに目を見張ります。サッカーの応援歌でも有名な「凱旋行進曲」が場を盛り上げます。(余談ですが新国立劇場最寄りの初台駅上りホームの電車接近メロディーはこの「凱旋行進曲」です。)

撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場

そして、衣裳と舞台美術も見どころの一つです。新国立劇場の広報担当の方によると、『アイーダ』の衣裳はシルクを使った非常に上質なもので、装飾も大変に豪華、繊細で、上演の都度、補修を重ねながら使っているそうです。今回も上演前に3ヶ月以上かけて衣裳や帽子、アクセサリー類のメンテナンスをしたとのこと。客席から裸眼でもその豪華さは目をみはるばかりですが、オペラグラスを使うと一層美しさがわかります。裾をひく衣の重なりも華麗できらびやか、それを纏う役者たちの裾さばきもみごとです。

舞台美術も幕ごとにがらりと変わり、それぞれの場にふさわしく盛り立てています。ゼッフィレッリがこのプロダクションを作り上げるのに、予算という概念はあったのかと不思議に思うほど。

撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場

日常が戻りつつある喜びとともに

新国立劇場は、コロナ禍でのオペラの公演は出演者の間隔を広く取るなど一部演出を変更して上演してきましたが、去年の秋からは本来の演出で上演しています。出演者総勢300人を超える『アイーダ』の舞台は超密!コロナ禍では上演しえなかったプログラムかもしれません。先月からは客席からの声援も認められ、久しぶりに「ブラボー」の声が響き渡ることでしょう。『アイーダ』はオペラファンのみならず、いつかオペラを見てみたいと思っている方にうってつけのプログラムです。きっとオペラのとりこになること間違いありません。

撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場

Staff&Castスタッフ・キャスト

◇スタッフ

【指 揮】カルロ・リッツィ

【演出・美術・衣裳】フランコ・ゼッフィレッリ

【照 明】奥畑康夫
【振 付】石井清子
【再演演出】粟國 淳
【舞台監督】斉藤美穂

◇キャスト

【アイーダ】セレーナ・ファルノッキア

【ラダメス】ロベルト・アロニカ

【アムネリス】アイリーン・ロバーツ

【アモナズロ】須藤慎吾

【ランフィス】妻屋秀和
【エジプト国王】伊藤貴之
【伝令】村上敏明
【巫女】十合翔子【合唱指揮】三澤洋史

【合 唱】新国立劇場合唱団
【バレエ】東京シティ・バレエ団
【児童バレエ】ティアラこうとう・ジュニアバレエ団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【ライター・akemi
きものでミュージアムめぐりがライフワークのきもの好きライター。
きもの文化検定1級。Instagramできものコーディネートや展覧会情報を発信中。コラム『きものでミュージアム』連載中(Webマガジン「きものと」)。

展覧会に合わせたコーディネート。エジプトの国旗、赤、白、黒の横三色の中央に金色サラディンの鷲(国章)を意識して、白大島紬に黒い帯、小物は赤に。帯の三角は、ピラミッドに見立てて。鷲の代わりに千鳥はかわいすぎでしょうか。