「おかえりなさい、シスコさんー100年前の松橋を旅する」展 塔本シスコさんの故郷で“里帰り展” 宇城市不知火美術館(熊本)で4月15日開幕

塔本シスコ《古里の家(シスコ、ミドリ、シユクコ、ミア、ケンサク)》1988年 キャンバス、油彩

おかえりなさい、シスコさん―100年前の松橋を旅する
会場:宇城市不知火美術館(熊本県宇城市不知火町高良2352)
会期:2023年4月15日(土)〜6月15日(木)
休館日:会期中無休
開館時間:9時~18時(土曜日は9時~21時)※入場は閉館の30分前まで
料金:大人300円/高大生200円/中学生以下無料
※20名以上の団体は2割引 ※障害者・戦傷病者の各種手帳をの交付を受けている方及びその介助者の方は半額
※後期高齢者医療被保険者証の交付を受けた市内在住者は半額
詳しくは不知火美術館・図書館ホームページ(https://www.museum-library-uki.jp/

50歳代で本格的に絵筆を取り、その自由奔放な作品の数々で近年、評価が高まっている塔本シスコさん(1913~2005)の“里帰り”展覧会です。

シスコさんは1913(大正2年)、熊本県八代郡生まれ。同県下益城郡豊川村(現・宇城市松橋町)の養父母の元で育ちました。養父のサンフランシスコへの憧れからシスコと名付けられました。50歳を過ぎてから絵画に取り組み、91歳で亡くなるまで40年の間、家族に支えられながら精力的に作品を生み出しました。モチーフは身近な風景や出来事、子供の頃の思い出などが中心。息子夫婦の住む大阪の団地の4畳半一室をアトリエに、油彩やアクリルの絵画はもちろん、空き瓶や空き箱など身の回りのあらゆるものがキャンバスになりました。

自宅の四畳半で制作に励むシスコさん。

2021年~22年にかけては世田谷美術館(東京)、熊本市現代美術館、岐阜県美術館、滋賀県立美術館で初の大規模な回顧展も開催。大いに話題を集めました。↓は回顧展の記事です。

今展は今年2月、子供時代の思い出などを描いた作品15点(絵画13点、造形物2点)が宇城市に寄贈されたのを機に、開催の運びとなりました。今から100年前、シスコさんは10歳。寄贈作品にはそのころの宇城市松橋の風景や生活の様子などが描かれています。

“シスコラボ”も展開

今展をきっかけにアーティストと、地元の人たちとのコラボも実現。シスコさんの作品に触発されたゲストアーティストの荒井良二(絵本作家)、野村誠(作曲家)、itiiti(いちいち、プロダクトデザイナーのユニット)が、宇城市の人々と自由な創作活動、“シスコラボ”を展開しました。協働で作り上げた絵や音楽、プロダクトが展示空間を彩ります。こちらも楽しみです。

(美術展ナビ編集班 岡部匡志)