【BOOKS】『蕙斎略画全集』(芸艸堂刊)ゆる~い鍬形蕙斎のスケッチ画は見て楽しいだけでなくクリエイションも刺激する

ゆる~い画風で現代でも人気のある江戸時代の絵師・鍬形蕙斎(1764~1824年)。蕙斎が手がけた鳥獣略画式、人物略画式、草花略画式、山水略画式、魚貝略画式の全ページをオールカラーで収録した『蕙斎略画全集 鳥獣・人物・草花・魚貝・山水 江戸のおもしろスケッチ帖』が3月に芸艸堂から刊行されました。蕙斎略画の全貌を紹介する初めての本です。
畳職人の子として生まれた蕙斎は、絵の巧さから浮世絵の道へ進み、ついには大名お抱えの絵師にまで登り詰めます。写実的な作品もありますが、特に彼が得意だったのが、ゆる~いスケッチ画「略画」です。江戸時代には「北斎嫌いの蕙斎好き」という言葉が生まれたほど多くの人をとりこにした蕙斎略画を、あますところなく紹介。足立区立郷土博物館専門員の加藤ゆずかさんによる解説と4コマ漫画で、ゆるくて深い世界をより楽しむことができます。加藤さんは「誰もがクリエイターとなりうる時代においてこそ、「略画」はより多くの人々に受け入れられ、広がっていくことでしょう」とその魅力を解説で説明しています。
定価2,200円。書店や芸艸堂のホームページから各インターネット書店で。
(読売新聞デジタルコンテンツ部美術展ナビ編集班)
あわせて読みたい