【プレビュー】企画展「猪熊弦一郎展『いのくまさん』」4月15日(土)から、茨城県近代美術館で

猪熊弦一郎《飛ぶ日のよろこび》1993年 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館蔵 ©公益財団法人ミモカ美術振興財団

多彩な創作活動で知られる画家・猪熊弦一郎(1902-1993)の魅力を、詩人・谷川俊太郎の軽妙な文章とともに絵本で紹介した『いのくまさん』をもとに、猪熊作品の鮮やかな世界を楽しめる企画展「猪熊弦一郎展『いのくまさん』」が4月15日(土)から、茨城県近代美術館で開かれます。

猪熊弦一郎《サクランボ》1939年 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館蔵 ©公益財団法人ミモカ美術振興財団
猪熊弦一郎《マドモアゼルM》1940年 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館蔵 ©公益財団法人ミモカ美術振興財団

 猪熊弦一郎は香川県生まれ。東京美術学校(現・東京藝術大学)を卒業後、1936年に小磯良平らと新制作派協会(現・新制作協会)を結成します。東京、パリ、ニューヨーク、ハワイと拠点を移しながら、マティス、ピカソ、藤田嗣治、イサム・ノグチら様々な芸術家と交友し、彼らに刺激を受けつつ独自の画風を追究しました。またその制作活動は幅広く『小説新潮』の表紙絵を40年間描いたほか、三越の包装紙「華ひらく」のデザインや、JR上野駅中央改札の壁画《自由》の制作を担ったことでも知られています。

猪熊弦一郎《猫によせる歌》1952年 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館蔵
©公益財団法人ミモカ美術振興財団

絵本『いのくまさん』(小学館)は、画家・猪熊弦一郎の作品の魅力をこどもたちにもわかりやすく紹介した本で、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館の企画で 2006年に発刊されました。本文は詩人・谷川俊太郎のシンプルかつ軽妙なタッチの言葉で綴られ、ページをめくるたびに、猪熊作品の多彩で生命力にあふれた世界が広がります。本展はこの絵本をもとに構成し、大人からこどもまで楽しめる内容になっています。また作品に加え、戦後の社会を彩った猪熊の様々な仕事などもあわせて紹介し、その魅力に迫っています。

猪熊弦一郎《顔80》1989年 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館蔵 ©公益財団法人ミモカ美術振興財団

展覧会は、こどものころ/じぶんのかお/ほかのひとのかお/たくさんのかお/とりがすき/ねこもすき/おもちゃがすき/かたちがすき/いろもすき――といった絵本の構成にあわせて猪熊作品が会場にならびます。

猪熊弦一郎《驚く可き風景(A)》1969年 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館蔵 ©公益財団法人ミモカ美術振興財団
猪熊弦一郎《金環食》1987年 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館蔵 ©公益財団法人ミモカ美術振興財団

見どころ

(1)絵本のイメージを具体化
詩人・谷川俊太郎のシンプルで軽妙な言葉とともに、猪熊作品の色彩溢れる世界が広がる絵本『いのくまさん』。本展はこの絵本のイメージを、実際の作品で具現化してみることができます。

(2)「いろ」や「かたち」を楽しみましょう
猪熊弦一郎は「何をかいてあるのかわからなくても、美しいというのがわかれば、それがいちばんいい絵のみかたです」と語っています。その言葉の通り、猪熊の作品は、抽象的なものであっても、素直に「美しい」と感じ「楽しむ」ことができます。猪熊作品の「いろ」や「かたち」を楽しんでみましょう。

(3)様々な仕事を一覧
絵画作品に加え、自身が「対話彫刻」と名付けた針金などによる昆虫のようなオブジェや、猪熊がコレクションしたおもちゃ、そして40年にわたり描いた『小説新潮』の表紙絵などの様々な仕事を一覧する機会です。

(4)交友関係をエピソード交えて紹介
猪熊は、多くの友人・知人たちから様々な刺激や影響を受けました。1 階アートフォーラム展示コーナーでは、猪熊と彼をめぐる人たちについて、様々なエピソードを交えながら紹介されています。

企画展「猪熊弦一郎展『いのくまさん』」
会場:茨城県近代美術館(茨城県水戸市千波町東久保666-1)
会期:2023415()2023625()
休館日:毎週月曜日。ただし51日(月)は開館
開館時間:午前930分~午後5(入場は午後430分まで)
観覧料:一般 1,000円/満70歳以上 500円/高大生 730円/小中生 370
610日(土)は満70歳以上の方は入場無料
※障害者手帳等をご持参の方は無料
※土曜日は高校生以下は無料
詳しくは、同館HP

(美術展ナビ編集班)