【BOOKS】「とわの文様」 永井紗耶子さんの最新刊 呉服屋の看板兄妹が織りなす人情物語 角川文庫より発刊

「美術展ナビ」にもたびたび寄稿をいただいている永井紗耶子さんの書き下ろし新刊、「とわの文様」が角川文庫から発刊されました。

舞台は江戸の呉服屋・常葉屋。三井越後屋や大丸屋のような大店ではありませんが、「ここにしかない品がある」と着物にうるさい江戸っ子たちにも評判のお店です。この店の箱入り娘の十和(とわ)は、失踪した母の代わりに店を盛り立てようと奮闘しています。
芝居を愛する兄で若旦那の利一(りいち)は、面倒事を背負い込む名人。犬猫を拾う気軽さで、ヤクザ者に追われる女性を連れて帰ってきますが、それをきっかけに大騒動が巻き起こり……。

という具合で、人情に篤い兄妹が様々な人々と触れ合い、その悩みを共に解決していくストーリー。永井さんの作品らしく、着物やお芝居のエピソードが豊富に盛り込まれ、懸命に日々を生きる江戸の人たちの営みが暖かなまなざしで描かれています。永井さんは「着物好きが高じて、作品にしてしまいました。ちょっと現実を離れて江戸の町に遊びに行くような気持ちで、この兄妹の暮らしぶりを楽しんでいただけたら幸いです」と話しています。
【とわの文様】
著者:永井紗耶子
定価:704円(本体640円+税)
発売日:2023年03月22日
判型:文庫判
商品形態:文庫
ページ数:272
ISBN:9784041119907
角川文庫のページ(https://www.kadokawa.co.jp/product/322107000435/
(美術展ナビ編集班 岡部匡志)

永井紗耶子さん:小説家 慶應義塾大学文学部卒。新聞記者を経てフリーライターとなり、新聞、雑誌などで執筆。日本画も手掛ける。2010年、「絡繰り心中」で第11回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。著書に『商う狼』『大奥づとめ』(新潮社)、『横濱王』(小学館)など。第40回新田次郎文学賞、第十回本屋が選ぶ時代小説大賞、第3回細谷正充賞を受賞。『女人入眼』(中央公論新社)が第167回直木賞候補に。新刊『木挽町のあだ討ち』(新潮社)。(写真はⒸ新潮社)