「興福寺 国宝誕生と復興の物語 つなぐ!天平の心」 守り続けてきた天平の美と心を探る BSプレミアムで3月28日放送

五度の焼失から復興した室町時代再建の六代目の五重塔。再建には中世の人たちのある願いが…

【番組タイトル】興福寺 国宝誕生と復興の物語 
【サブタイトル】つなぐ!天平の心
【放送日時】BSプレミアム 3月28日(火)   18:00~18:59
【番組紹介】https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/trailer.html?i=38015

並び立つ「東金堂」(左)と「五重塔」 聖武天皇とそのパートナー、光明皇后が鎮護国家をめざし建立しました

奈良の象徴、国宝興福寺五重塔の120年ぶりの大修理をきっかけに、興福寺が守り続けてきた天平の美と心と国宝の数々を探り、ふだん目にすることのない寺の奥深くまでを取材した2回シリーズです。後編の今回は、平安時代末期、平家による南都焼き討ちで灰燼に帰した興福寺が、なぜどのように復興し、その中で今に残る超一級の国宝が新たに生み出された秘密を探っていきます。

五重塔の修理に携わる日本建築史の研究者・海野聡さん。南都焼き討ち後に再建された国宝「北円堂」が、奈良時代の天平様式に敬意を表し建てられたと分析。

東京大学大学院で日本建築史を研究する海野聡さんは、五重塔や北円堂が美しい理由は、古代奈良時代の技術と中世の技術のハイブリッドにあるといいます。建築の細部を見ると中世の匠の驚きのしかけや創建時の天平様式ヘの敬意が隠されており、海野さんは今回の五重塔修理でさらにそうした背景が明らかになると期待しています。

興福寺に現存する最古の建物の一つ国宝「北円堂」。天平様式と中世の技術を組み合わせた“ハイブリットな建物”

奈良国立博物館で彫刻を担当する山口隆介さんは、北円堂の国宝秘仏、運慶作の弥勒如来像・無著菩薩像・世親菩薩像や、南円堂の国宝秘仏、運慶の父康慶作の不空羂索観音菩薩像・法相六祖像に、阿修羅など天平彫刻の影響があるといいます。

南円堂の国宝・不空羂索観音菩薩像の天平彫刻との関係性をひも解く、奈良国立博物館の主任研究員 山口隆介さん

高村光太郎もたたえた天平彫刻の写実と、歴代美術史家が絶賛した無著像のリアル、さらに法相六祖像の写実表現を徹底比較します。

運慶作の北円堂の国宝秘仏「無著菩薩像」。明治以降美術界でその写実性と精神性を絶賛された。

復興のパトロンだった藤原氏の九条兼実も異を唱えたという、慶派の仏像の革新性に迫っていきます。非公開の南円堂の観音法要も8Kカメラで記録、ダイナミックなドローンやクレーンの映像もふんだんに使いながら、中世の職人と仏師の心意気に迫ります。

南円堂で行われる非公開の観音法要。毎月17日、その時々の災いを消し去る祈りが行われる。

(美術展ナビ編集班)