芸術新潮4月号は初の大規模展がトーハクで開催中で話題の東福寺に迫る

芸術新潮2023年4月号が3月25日(土)に刊行されました。特集は、5月7日まで東京国立博物館で特別展が開催されている「東福寺の実力」。この禅宗寺院の歴史や魅力に迫ります。

担当した高山れおな編集長は、「東福寺は国宝《無準師範像》をはじめとする中世の禅宗美術の宝庫です。ただ、その実力はいまひとつ周知されていない感じもします。紅葉の名所というイメージが強すぎるせいもあるでしょうし、室町後期以降、臨済宗の主流が大徳寺派・妙心寺派に移ってしまったせいもあるでしょう。

東京国立博物館ですでに始まっている「特別展 東福寺」は、美術の宝庫としての東福寺の奥深さを堪能させてくれる素晴らしい展示だと思いました。
頂相・仏画・墨蹟・仏像など、各ジャンルにわたる一級品がずらっと並んでいて壮観ですが、痛感したのはそのヴァラエティが豊かさです。

小誌の特集では仏像はあまり取り上げていませんが、頂相・仏画・墨蹟についてはそのハイライトをたっぷりご紹介しています。
個人的には墨蹟のパートで、読み下しと現代語訳で内容的な魅力をお伝えすることに注力しました。
東福寺創建を発願したのは九条道家ですが、そこに禅宗寺院としての魂を入れたのは、当時の南宋で随一の禅僧だった無準師範と、日本からはるばる彼のもとに入門した円爾。墨蹟を読み解くと、日中の国境を越えた師弟の熱い交流が見えてきて感動的です。

 

特集ではその他、展覧会には出ない伽藍や行事にもページを割いています。
お楽しみいただければ幸いです」
と話しています。

定価1500円。購入は、書店や芸術新潮のサイトから各インターネット書店で。
(読売新聞デジタルコンテンツ部美術展ナビ編集班 岡本公樹)