レンブラント《夜警》は展示しながら修復中! オランダのアムステルダム国立美術館、マウリッツハイス美術館とファン・ゴッホ美術館をレポート

オランダのアムステルダム国立美術館で開催されている「フェルメール展」は世界でも話題です。美術展ナビでは、ライターのakemiさんに「フェルメール展」の様子とグッズを2回にわけてレポートしてもらいました。今回は番外編として、オランダの美術館について紹介します。
門外不出のレンブラントの《夜警》と対面
フェルメール展とともにアムステルダム国立美術館で絶対に見たかったのが、門外不出のレンブラントの《夜警》でした。
レンブラント・ファン・レイン(1601-1669年)は、オランダ生まれのバロック期の代表的画家です。1885年に開館したアムステルダム国立美術館の建物は、レンブラントの代表作《夜警》を中心に設計されており、常設展2階の「名誉の間(Gallery of Honour)」と呼ばれる展示室の正面に展示されています。

フェルメール展を観賞した後、「名誉の間」に向かいました。2階のホールに上がると広い通路の両脇に展示スペースがあり、正面奥に《夜警》が展示されている、はずです。はやる気持ちを抑えながら、でも速足で近づきました。
私が美術鑑賞に目覚めたきっかけは、30数年前、初めてNYのメトロポリタン美術館を訪れて、レンブラントの《ホメロスの胸像を見つめるアリストテレス》を見たことでした。以来、《夜警》を見るのが長年の夢でした。

しばらく呆然と見つめます……感動のあまり声が出ません。少し涙があふれました。光の描写がすばらしいです。そして、思ったよりサイズが大きく感じます(379cm × 453cm)。少しも逃すまいと隅々まで見つめ味わいつくしました。ここまでやってきて本当によかった。もちろん、期待以上でした。この体験は一生大事に胸にしまっておきたいと思います。

《夜警》は、実は2019年から修復中です。”Operation Night Watch(夜警の手術、夜警作戦)”と名付けられた修復作業は、展示したまま行われています。手前には作業用の足場が置かれています。本体のクリーンアップは終了していますが、まだ作業は完了しておらず額は外された状態でした。
アムステルダム国立美術館はこれ以外にも素晴らしい作品があふれていました。




《真珠の耳飾りの少女》不在のマウリッツハイス美術館
マウリッツハイス美術館はアムステルダムから電車で1時間ほどのハーグにある、オランダとフランドルの名画コレクションを所蔵する美術館です。フェルメールの《真珠の耳飾りの少女》を所蔵していることで有名で、ほかに《デルフトの眺望》と《ディアナとニンフたち》も所蔵していますが、3点ともフェルメール展に出展中でした。

その穴を埋めるように、楽しい企画が実施。オリジナルの作品を新たに作成するよう呼びかけたところ、世界中の3歳から90歳まで、アマチュアからプロまで約3500人が参加。《真珠の耳飾りの少女》が通常飾られている場所にその一部が展示されています。


マウリッツハイス美術館は建物自体がオランダ古典建築様式の最高峰のひとつです。フェルメール以外にもレンブラント、ハルス、ルーベンスなどの画家の作品を所蔵しています。
ファン・ゴッホ美術館

ゴッホの世界最大のコレクションを抱えるファン・ゴッホ美術館は、アムステルダム国立美術館のすぐ近くにあります。ゴッホの親族が今も運営に関与しています。

《アーモンドの花咲く枝》は、生涯ゴッホを支え続けた弟のテオと妻ヨーの息子の誕生祝いとして描かれました。美術館の象徴的な作品として、展示室の最初の目立つところに展示されています。
そのほか《ひまわり》や《黄色い家》、数々の《自画像》など、ゴッホの代表作のほか、モネやゴーギャン、マネなどの作品も数多く所蔵しています。

【ライター・akemi】
きものでミュージアムめぐりがライフワークのきもの好きライター。
きもの文化検定1級。Instagramできものコーディネートや展覧会情報を発信中。コラム『きものでミュージアム』連載中(Webマガジン「きものと」)。
今回の旅では2日間きものを着ました。前回と同じきもので帯と小物だけ替えて。オランダと言えばチューリップ、ということでチューリップの帯を選びました。滞在中、洋服で美術館に行った日もあるのですが、慣れているせいか草履のほうが歩きやすいと実感!これからも美術館にはきものを着て行こうと改めて思いました。