50年ぶりの大キュビスム展が10月に国立西洋美術館で開催 「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」 京都にも巡回

「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」が10月3 日~2024年1月28日に国立西洋美術館で、2024年3月20日~7月7日に京都市京セラ美術館で開催されます。世界屈指の近現代美術コレクションを誇るパリのポンピドゥーセンターの所蔵品から、キュビスムの歴史を語る上で欠くことのできない貴重な作品が多数来日。そのうち50点以上が日本初出品となります。

油彩、木炭、カンヴァス/92 x 73 cm /ポンピドゥーセンター(1947年購入)
Centre Pompidou, Paris, Musée national d’art moderne – Centre de création industrielle
© Centre Pompidou, MNAM-CCI/Philippe Migeat/Dist. RMN-GP
20世紀美術の真の出発点となり、新たな地平を開いたキュビスムの豊かな展開とダイナミズムを、主要作家約40人による絵画を中心に、彫刻、素描、版画、映像、資料など 約130点を通して紹介します。日本でキュビスムを正面から取り上げる本格的な展覧会はおよそ50年ぶりです。
パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ |
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東京会場:国立西洋美術館(東京・上野公園) |
会期:2023年10月3日(火)~2024年1月28日(日) |
京都会場:京都市京セラ美術館(京都・岡崎公園) |
会期:2024年3月20日(水・祝)~7月7日(日) |
展覧会公式サイトhttps://cubisme.exhn.jp/ |
キュビスムとは
キュビスムは、20世紀初頭にパブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックという 2 人の芸術家によって生み出され、西洋美術の歴史に大きな変革をもたらしました。その名称は、1908年にブラックの風景画 が「キューブ(立方体)」と評されたことに由来します。

油彩・カンヴァス/257 x 206 cm /ポンピドゥーセンター(1937年寄贈)
Centre Pompidou, Paris, Musée national d’art moderne – Centre de création industrielle
© Centre Pompidou, MNAM-CCI/Philippe Migeat/Dist. RMN-GP
西洋絵画の伝統的な遠近法や陰影法による三次元的な空間表現 から脱却し、幾何学的に平面化された形によって画面を構成する試みは、絵画を現実の再現とみなすルネサンス以来の捉え方から解放。視覚表現に新たな可能性を開いたキュビスムは、 パリに集う若い芸術家たちに大きな衝撃を与えました。
絵画や彫刻の表現を根本から変えることで、抽象芸術やダダ 、シュルレアリスムへといたる道を開き、装飾やデザイン、建築など様々な分野にも瞬く間に広まり、芸術の多様な展開に決定的な影響を与えました。
主な出品作品(予定)
本展では、ピカソ12点 、ブラック 15点と、これまでにないまとまった作品数で変化を続けながら展開した 2 人のスリリングなキュビスムの造形実験を追体験できます。
特にピカソのプリミティブな裸婦像に衝撃を受けて制作されたブラックの 重要作 《大きな裸婦》(1907-08年、 日本初出品)、ポンピドゥーセンターを代表するピカソのキュビスム絵画 《肘掛け椅子に座る女性》(1910年)が注目されます。

ピカソとブラックとは異なるキュビスムの流派を築いた「サロン・キュビスト」と呼ばれる画家たちの絵画では、 ポンピドゥーセンターの人気作品で横幅 4 メートルにも及ぶロベール・ドローネーの大作《パリ市》(1910-12 年)が初
来日。また、マルク・シャガールの初期の傑作《ロシアとロバとその他のものに》(1911年)など粒揃いの絵画5 点も必見です。
展示構成
本展前半は、ポール・ セザンヌやアンリ・ルソーの絵画、アフリカの彫刻など、キュビスムの多様な源泉を探る「キュビスムの起源」から始まり、ピカソとブラックがそれらを大胆に解釈しながら、 緊密な共同作業によって全く新しい絵画を発明する軌跡を追います。

ブロンズ/16 x 27.3 x 18.5 cm /ポンピドゥーセンター(1963年寄贈)
Centre Pompidou, Paris, Musée national d’art moderne – Centre de création industrielle
© Centre Pompidou, MNAM-CCI/Adam Rzepka/Dist. RMN-GP
※東京会場のみ出品
後半では、その後のキュビスムの展開に重要な役割を果たした重要な役割を果たしたフェルナン・レジェ、フアン・グリス、ロベール・ドローネー、ソニア・ドローネーら主要画家。キュビスムを吸収しながら独自の作風を打ち立てたシャガールら国際色豊かで個性的な芸術家たちを紹介します。
また、キュビスムを批判的に乗り超えようとするル・コルビュジエらのピュリスム(純粋主義)の運動運動や機械美学が台頭してくるまでを展覧します。
主な出品作家(アルファベット順)
コンスタンティン・ブランクーシ、ジョルジュ・ブラック、マルク・シャガール、ロベール・ドローネー、ソニア・ドローネー、マルセル・デュシャン、ナターリア・ゴンチャローワ、フアン・グリス、マリー・ローランサン、ル・コルビュジエ、フェルナン・レジェ、ジャック・リプシッツ、 アメデオ・モディリアーニ 、パブロ・ピカソ ほか
(美術展ナビ編集班)