【開幕】「恐竜博 2023」国立科学博物館で6月18日まで 日本初公開の鎧竜「ズール」や世界初公開のティラノサウルス「タイソン」の実物化石

左から)ティラノサウルス「タイソン」の全身骨格ⒸTyson.T.rex,2023/ティラノサウルス「スコッティー」の全身復元骨格(むかわ町穂別博物館蔵)ⒸCourtesy of The Royal Saskatchewan Museum

特別展「恐竜博 2023」
会場:国立科学博物館(東京・上野公園)
会期:2023年3月14日(火)~6月18日(日)
※日時指定予約制
開館時間:午前9時~午後5時(入場は午後4時30分まで)
※ただし土曜日、4月30日~5月7日は午後7時まで延長(入場は午後6時30分まで)
休館日:月曜日 ※3月27日、4月3日、5月1日、6月12日は開館
入場料:一般・大学生2,200円/小・中・高校生600円
詳しくは展覧会公式サイト

開幕前日の内覧会を取材

3月14日から国立科学博物館(東京・上野公園)で始まる「恐竜博 2023」の内覧会を取材しました。トゲトゲのウロコと先端に棍棒を持つ強力な尾で肉食恐竜から身を守った鎧竜「ズール」の全身実物化石がカナダ・ロイヤルオンタリオ博物館から初来日しました。
さらにティラノサウルスの「タイソン」の全身組立骨格(実物化石)も世界初公開です。

ティラノサウルス「タイソン」の全身骨格

ティラノサウルス「タイソン」は59%にあたる177個の骨が見つかっている全身組立骨格で、小さい前脚(上腕骨)の化石が見つかるのは貴重で、さらに前脚には後ろから噛みつかれた痕も残っています。

ティラノサウルス「タイソン」の全身骨格(左)

鎧竜ズールとは

ズール・クルリヴァスタトルの頭部の実物化石 ロイヤルオンタリオ博物館蔵

本展の主役であるズール・クルリヴァスタトルは後期白亜紀(約7600万年前)に生息した全長約6メートルのアンキロサウルス類の鎧竜です。ズールという名は、映画ゴーストバスターズに出てくる門の神ズールに似ていることから、映画会社に許諾を得て、正式な学名になったのだそうです。

ズールの実物化石、右側が胴体、左側が尾。ロイヤルオンタリオ博物館蔵
胴体はトゲトゲのウロコで覆われている ロイヤルオンタリオ博物館蔵
棍棒になっている尾の先 ロイヤルオンタリオ博物館蔵

クルリは脛、ヴァスタトルは破壊者を意味し、肉食恐竜の脛を破壊する強力な尾を持っていることからつけられたそうです。

こちらは鎧竜ズールが肉食恐竜のゴルゴサウルスと戦ってる復元です。床にスクリーン投射された影で、ズールが尾の棍棒を使ってゴルゴサウルスの脛を打ちつける攻防戦が再現されています。

ズールとゴルゴサウルスの対峙シーン(復元) ロイヤルオンタリオ博物館蔵
ズールとゴルゴサウルスの対峙シーン(復元) ロイヤルオンタリオ博物館蔵

最前線の恐竜研究も

国立科学博物館では2019年夏以来の「恐竜博」。最新の恐竜研究の成果が披露されています。下の写真の化石は、アメリカ・モンタナ州で発見され、新種の可能性があるケラトプス科の化石(国立科学博物館蔵)です。国立科学博物館では学会に新種の可能性を報告しており、新種と認められれば、会期中に新しい名前が発表されることもあるかもしれないと、本展監修者の国立科学博物館副館長の真鍋真さんは話していました。

南半球の王者「マイプ」

北半球で王者だったティラノサウルス類に対して、南半球でその座についていたとみられているのが肉食恐竜「マイプ・マクロソラックス」(メガラプトル類)。推定全長9メートルで、名前の由来はアルゼンチンに伝わる冷たい風で人間を遭難させる悪霊から。

ケラトプス科の新種の可能性がある化石

「マイプ」は、真鍋さんらの調査隊によって2020年にアルゼンチンで発掘され、2022年に新種として命名され、いま世界中の恐竜ファンから注目を集めている恐竜です。その実物化石が日本初公開です。

グッズも最新!

グッズも最新の成果が反映されています。例えば、カプセルフィギュアではティラノサウルスの色が2019年の恐竜博のときよりも明るい彩色になっています。その理由も最新の研究(体の大きなティラノサウルスは体色が明るい方が太陽からの熱を反射して体温上昇を抑える効果があったという説)を反映したものでした。

左がズール、右がマイプのぬいぐるみ(各2400円)

鳥獣人物戯画とコラボした「恐竜人物戯画」グッズも複数展開

(読売新聞デジタルコンテンツ部 岡本公樹)