【街のアート】高さ12.9メートルをほこる「九谷焼ビッグモニュメント」が”中に入れる九谷焼”に変身!(石川県能美市)

街中で気軽に楽しめるアートを紹介する連載「街のアート」。今回は、石川県能美市の「九谷陶芸村」にある巨大な九谷焼作品「九谷焼ビッグモニュメント」を紹介します。
石川県能美市は、日本海や河川、里山に囲まれた自然豊かな地であるとともに、九谷焼の産地です。能美市が誇る九谷焼について、あらゆる角度で楽しめるのが「九谷陶芸村」。九谷焼の名品を鑑賞できる「KAM能美市九谷焼美術館」や九谷焼を購入できる専門店などが並び、九谷焼にまつわるさまざまな体験ができます。
九谷陶芸村の一角にそびえ立つ「九谷焼ビッグモニュメント」は、九谷陶芸村のシンボルとも言える存在です。
高さ12.9メートル! 九谷焼ビッグモニュメント
九谷焼ビッグモニュメントは、日本藝術会員の武腰敏昭さん(1940~2021年)が1993年に手がけた九谷焼作品です。高さは約12.9メートル! 遠くから見ると様々な文様が彫り込まれているように思えますが、実は約6万枚の九谷焼陶版で構成されています。
地元の能美古墳群にちなんで銅鐸をモチーフとし、古代の森羅万象を表しています。

上部は宇宙と天体を表現。中央部の左右に昼行性と夜行性の諸動物を、その間に火を描き、突起は生命力を表しています。

下部の人間像は狩猟・収穫・工芸・戦いを、周辺の陶壁は大地と水を表現しています。
中に入れる九谷焼に!
現在、九谷焼ビッグモニュメントを「中に入れる九谷焼」として活用するための取り組みが進んでいます。これまで倉庫として使われてきた内部をリニューアル。生まれ変わった内装を先行して見せていただきました。
モニュメントは4階建て。能美市の特産品「国造ゆず」の香りが立ち込めるなか、光の演出によって幻想的な世界が広がっていました。
各階には、「甦」「祈」「宙」「地」といったテーマに基づき、割れたり欠けたりして販売できなくなった九谷焼を加工した「九谷陶片」のオブジェや、九谷焼のウルトラマンなどが展示されています。



モニュメント内部は、今年中の一般公開を目指しているそうです。「九谷焼の中に入る」とは、またとない体験。モニュメントを様々な角度から眺め、陶版の質感を味わった後に、その中に入れば、九谷焼をより身近に感じられることでしょう。
あわせて訪ねたい

九谷焼ビッグモニュメントを手がけた武腰敏昭さんの作品は、九谷陶芸村内にある「KAM能美市九谷焼美術館」の|五彩館|でも見ることができます。こちらも、あわせて訪ねたいスポットです。詳しくは、以下の探訪記事をご覧ください。
(読売新聞美術展ナビ編集班・美間実沙)