【開幕】「印章 刻まれてきた歴史と文化」山梨県立博物館で5月8日まで 国宝金印は3月21日までの期間限定

印章 刻まれてきた歴史と文化 |
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会場:山梨県立博物館(笛吹市御坂町成田1501-1) |
会期:2023年3月11日(土)~5月8日(月) |
開館時間:9時~17時(入館は16時30分まで) |
休館日:火曜日、3月22日(水) *3月21日(火・祝)・5月2日(火)は開館 |
観覧料:一般1,000円、大学生500円 高校生以下無料 |
アクセス:JR石和温泉駅からバスで約10分(「富士山駅」行き、「鶯宿」行き)/中央自動車道一宮・御坂ICから車で約8分 |
詳しくは博物館の公式サイト |
開幕前日の内覧会を取材
山梨県立博物館で3月10日に開幕する「印章 刻まれてきた歴史と文化」展の内覧会を取材しました。目玉は国宝の金印「漢委奴国王」(福岡市博物館蔵)の山梨初公開(3月21日までの期間限定)です。金印は想像よりも小さいと思いましたが、展示した学芸員さんによると純金なのでズシリと重いそうです。


そもそもなぜ山梨で印章展?と聞いたところ、実は水晶の産地だった山梨県は、明治以降に水晶印作りが盛んとなり、現在でも印章の生産日本一だそうです。

日本では古代(律令時代)の終わりとともに一度、印章が使用されなくなりました。再び使われるようになったのは、中世に禅宗が中国から入ってきたことに伴うのだそうです。
印章を効果的に使った人たちと言えば戦国武将。武田信玄から、織田信長、徳川家康、豊臣秀吉の三英傑までたくさんの印がそろい踏みしています。



江戸時代になると、中国から煎茶などの新たな文化が入ってきて「文人」ブームが巻き起こります。円山応挙や池大雅らの絵画が知られますが、この「文人」文化には、いにしえの印章(篆刻)を探究することも重要な要素だったそうです。篆刻における重要人物に高芙蓉という文人がおり、彼は甲府出身でした。円山応挙の描いた「仙山観花図」(九州国立博物館蔵、4月10日まで)の左上に賛を書き、押印しています。近世絵画における印の役割と重要性を考えることができました。

グッズも充実
どこを切っても「国宝金印」金太郎あめ(550円)などのオリジナルグッズも充実しています。図録(2200円)も刊行。
館の外に出ると沈む夕日がまるで金印のようでした。「印章 刻まれてきた歴史と文化」は5月8日まで。国宝金印は3月21日までの10日間(14日は休館)の展示で、その後は複製の展示になります。
(読売新聞デジタルコンテンツ部美術展ナビ編集班 岡本公樹)