清川あさみ個展 「Mirror World」 天王洲・MAKI Gallery 多層なレイヤーの表現に現代人のアイデンティティを見る 3月31日まで

Asami Kiyokawa, We wander around, 2022 Mixed media, 180.7 x 131.7 cm, Photo: KEI OKANO

清川あさみ
Mirror World
会場: MAKI Gallery / 天王洲 I, 東京(品川区東品川1-33-10)
会期:2023年2月23日(木)~3月31日(金)
営業時間:11:30 – 19:00
定休日:日曜・月曜
E-mail:info@makigallery.com
MAKI Gallery HP:https://www.makigallery.com/exhibitions/7855/

本展では、作家が長きに渡って制作を続ける写真や本などに刺繍を施す作品に加え、アクリルやUVプリントを使用した作品など、幅広い表現で厚みを増した最新のプレゼンテーションを紹介しています。

ʻ鏡の世界 ʼを意味する本展のタイトルは、メタバースやデジタルツインなどの新しい情報技術によって築かれた「もう一つの都市」とも呼べる仮想世界を示唆しています。本展では仮想世界と現実世界の錯綜を表すことで、現代に生きる人々の複雑化するアイデンティティを示し、その深部に迫ります。

Asami Kiyokawa We’re looking for something 2022 Mixed media 180.7 x 131.7 cm Photo: KEI OKANO
Asami Kiyokawa Today is a new day! 2022 Mixed media 90.0 x 67.5 cm

SNS上で容易に自己プロデュースが出来る現代において、デジタルのメディアツールはファッションと同じく、表出した個人のアイデンティティの一部であり、最早、切り離すことが難しい表皮となっているのです。

本展の作品では、「顔」が隠されたモチーフが頻出しています。肉体やファッションといった実体を離れても、輻輳した情報だけで自己が成立する時代に相応しい表現でしょう。デジタルメディアの発達に留まらず、量子論的な世界観さえ連想されます。現代社会の最先端を踏まえた、作家のスタンスが明確に打ち出されています。

Asami Kiyokawa Riddle man 2022 Mixed media 90.0 x 67.5 cm

話題のドラマ「大奥」のメインビジュアルのモチーフとなった《Serendipity》も鑑賞できます。様々なメディアが織りなす極めて細やかなニュアンスに驚かされます。

Asami Kiyokawa, Serendipity, 2023, Mixed media, 136.0 x 136.0 cm
Asami Kiyokawa, We’re looking for something, 2022, mixed media, 180.7 x 131.7 cm, Photo: Munetaka Tokuyama

(美術展ナビ編集班 岡部匡志)