「国立アートリサーチセンター」が3月末に発足 初代センター長は片岡真実氏 アートを振興、国際的な発信力を強化

7つの国立美術館を設置・運営する独立行政法人国立美術館(※)(本部・東京、逢坂惠理子理事長)は、日本の美術を持続的に振興し、国際的な発信力を強化するための新しい組織として「国立アートリサーチセンター」を3 月28日、同法人内に設立します。センター長は森美術館(東京)の片岡真実館長が務めます。アート振興の総合的な拠点としては国内では初めての組織になります。
3月8日、文化庁の都倉俊一長官、逢坂惠理子理事長、片岡真実・初代センター長らが記者会見して概要を発表しました。

国立アートリサーチセンターは、「アートをつなげる、深める、拡げる」をキーワードに、国内外の美術館、研究機関をはじめ社会のさまざまな人々をつなぐ新たな拠点。職員数は26人。専門領域の調査研究(リサーチ)をはじめ、情報収集と国内外への発信、コレクションの活用促進、人的ネットワークの構築、ラーニングの拡充、アーティストの支援などに取り組み、日本の美術館活動全体の充実を目指します。略称は英語名称(National Center for Art Research)の頭文字を取ってNCAR(エヌカー)。
こうした組織が生まれた背景には、他のアジア諸国と比較して日本がアートの国際発信などの面で遅れを取っている現状があります。中国や韓国、シンガポール、インドネシア、インドなどでは拠点となる美術館が次々に設立され、アート振興に役立つビエンナーレやトリエンナーレ、アートフェアなども活発になっています。これに対し、現在の国内状況では日本の美術館が個々にアート振興に取り組むのには限界があります。片岡新センター長は「それぞれの美術館にセンターが横串を刺す形になり、ひとつのまとまりとして、これまでにできなかったことに着手していきたい」と話していました。
※独立行政法人国立美術館 東京国立近代美術館(東京・竹橋)、国立工芸館(石川・金沢)、京都国立近代美術館(京都・岡崎公園)、国立映画アーカイブ(東京・京橋)、国立西洋美術館(東京・上野公園)、国立国際美術館(大阪・中之島)、国立新美術館(東京・六本木)の各館を設置・運営し、美術振興の拠点として様々な事業に取り組む組織。
(美術展ナビ編集班 岡部匡志)