【開幕】特別展「東福寺」東京国立博物館で5月7日まで 京都を代表する禅寺の全容が明らかに 圧倒的なスケールを体感

重要文化財 五百羅漢図のうち吉山明兆筆 南北朝時代・至徳3年(1386) 京都・東福寺蔵 ※展示風景 (撮影・青山謙太郎)

特別展「東福寺」が東京国立博物館 平成館で3月7日(火)から5月7日(日)まで開催されます(京都国立博物館で10月7日から12月3日まで開催)。

東福寺三門(国宝)

紅葉の名所として知られる東福寺は、京都を代表する禅寺のひとつです。鎌倉時代に創建されて以来、同寺には建造物や彫刻・絵画・書跡など禅宗にまつわる寺宝が多く伝わり、国指定を受けている文化財の数は、本山東福寺・塔頭合わせて国宝7件、重要文化財98件、合計105件におよびます。

本展は、東福寺の寺宝をまとめて紹介する初の展覧会です。開幕前の内覧会を取材しました。

スケールの大きさに圧倒!

展示風景

伽藍面がらんづら」と称されるほどの巨大伽藍を誇る東福寺。実は「東福寺」の名は、奈良の東大寺と興福寺から一文字ずつとったことに由来します。東大寺と興福寺を合わせたような大寺院となるように、という願いが込められているのです。展示室では、その名のとおり、広大なスケールを物語る仏像や書画などが次々と目に飛び込んできました。

仏手 鎌倉~南北朝時代・14世紀 京都・東福寺蔵 (撮影・青山謙太郎

こちらは旧本尊の焼け残りの仏手。手だけで約2m17㎝!もとの姿はどれほど大きかったのでしょう。もはや想像できないほど、圧倒的な迫力です。

伝説の絵仏師・明兆の傑作の数々

重要文化財 五百羅漢図のうち吉山明兆筆 南北朝時代・至徳3年(1386) 京都・東福寺蔵 ※展示風景 (撮影・青山謙太郎

本展の見どころのひとつが「五百羅漢図」(重文)です。東福寺に所属した絵仏師・吉山明兆(1352~1431年)が描き、全部で50幅。本展では、14年に及ぶ修理を経て、全幅(復元模写を含む)が初公開(3期にわたる展示替えあり)されます。極彩色の世界に引き込まれました。

重要文化財 五百羅漢図のうち吉山明兆筆 南北朝時代・至徳3年(1386) 京都・東福寺蔵 ※展示風景 (撮影・青山謙太郎
重要文化財 五百羅漢図のうち吉山明兆筆 南北朝時代・至徳3年(1386) 京都・東福寺蔵 ※展示風景

「五百羅漢図」に描かれる羅漢(釈迦の弟子)は、さまざまな神通力を駆使する一方で、ひげを剃ったり、耳かきをしたりと、親しみが感じられます。横に展示されている四コマ漫画が、意外にお茶目な羅漢の魅力を解説しています。

   

この「五百羅漢図」を描いた明兆は、雪舟と並び称された絵仏師です。画業円熟期の傑作「達磨だるま蝦蟇鉄拐図がまてっかいず」(重文)は、2.5メートルを超えるサイズ! まず、その迫力や力強さに驚かされるのですが、よく見ると毛髪の線などが柔らかく描かれていて、繊細さも感じられます。

重要文化財 達磨・蝦蟇鉄拐図 吉山明兆筆 室町時代・15世紀 京都・東福寺蔵 ※展示期間  3月7日〜4月9日

通天橋も再現

東福寺の絶景スポット・通天橋も再現されていました。通天橋を渡るような感覚で、鮮やかなモミジのパノラマ風景を楽しむことができます。

東福寺の全容を解き明かす本展。これまでに東福寺を訪れたことがある方も、新たな魅力を発見できるはずです。

(読売新聞美術展ナビ編集班・美間実沙)

特別展「東福寺」
東京会場:東京国立博物館 平成館
会期:2023年3月7日(火)~5月7日(日)
開館時間:午前9時30分~午後5時 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日
※ただし、3月27日(月)と5月1日(月)は開館
観覧料:一般2,100円 大学生1,300円 高校生900円 中学生以下無料
アクセス:JR上野駅公園口・鶯谷駅南口より徒歩10分
問い合わせは050-5541-8600(ハローダイヤル)
京都会場:京都国立博物館 平成知新館
会期:2023年10月7日(土)~12月3日(日)
開館時間:未定
観覧料:未定
問い合わせは075-525-2473(テレホンサービス)へ
詳しくは、展覧会の公式サイト https://tofukuji2023.jp/