【開幕】特別展「東福寺」東京国立博物館で5月7日まで 京都を代表する禅寺の全容が明らかに 圧倒的なスケールを体感

特別展「東福寺」が東京国立博物館 平成館で3月7日(火)から5月7日(日)まで開催されます(京都国立博物館で10月7日から12月3日まで開催)。

紅葉の名所として知られる東福寺は、京都を代表する禅寺のひとつです。鎌倉時代に創建されて以来、同寺には建造物や彫刻・絵画・書跡など禅宗にまつわる寺宝が多く伝わり、国指定を受けている文化財の数は、本山東福寺・塔頭合わせて国宝7件、重要文化財98件、合計105件におよびます。
本展は、東福寺の寺宝をまとめて紹介する初の展覧会です。開幕前の内覧会を取材しました。
スケールの大きさに圧倒!

「伽藍面」と称されるほどの巨大伽藍を誇る東福寺。実は「東福寺」の名は、奈良の東大寺と興福寺から一文字ずつとったことに由来します。東大寺と興福寺を合わせたような大寺院となるように、という願いが込められているのです。展示室では、その名のとおり、広大なスケールを物語る仏像や書画などが次々と目に飛び込んできました。

こちらは旧本尊の焼け残りの仏手。手だけで約2m17㎝!もとの姿はどれほど大きかったのでしょう。もはや想像できないほど、圧倒的な迫力です。
伝説の絵仏師・明兆の傑作の数々

本展の見どころのひとつが「五百羅漢図」(重文)です。東福寺に所属した絵仏師・吉山明兆(1352~1431年)が描き、全部で50幅。本展では、14年に及ぶ修理を経て、全幅(復元模写を含む)が初公開(3期にわたる展示替えあり)されます。極彩色の世界に引き込まれました。


「五百羅漢図」に描かれる羅漢(釈迦の弟子)は、さまざまな神通力を駆使する一方で、ひげを剃ったり、耳かきをしたりと、親しみが感じられます。横に展示されている四コマ漫画が、意外にお茶目な羅漢の魅力を解説しています。
この「五百羅漢図」を描いた明兆は、雪舟と並び称された絵仏師です。画業円熟期の傑作「達磨・蝦蟇鉄拐図」(重文)は、2.5メートルを超えるサイズ! まず、その迫力や力強さに驚かされるのですが、よく見ると毛髪の線などが柔らかく描かれていて、繊細さも感じられます。

通天橋も再現
東福寺の絶景スポット・通天橋も再現されていました。通天橋を渡るような感覚で、鮮やかなモミジのパノラマ風景を楽しむことができます。
東福寺の全容を解き明かす本展。これまでに東福寺を訪れたことがある方も、新たな魅力を発見できるはずです。
(読売新聞美術展ナビ編集班・美間実沙)
特別展「東福寺」 |
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東京会場:東京国立博物館 平成館 |
会期:2023年3月7日(火)~5月7日(日) |
開館時間:午前9時30分~午後5時 ※入館は閉館の30分前まで |
休館日:月曜日 ※ただし、3月27日(月)と5月1日(月)は開館 |
観覧料:一般2,100円 大学生1,300円 高校生900円 中学生以下無料 |
アクセス:JR上野駅公園口・鶯谷駅南口より徒歩10分 |
問い合わせは050-5541-8600(ハローダイヤル)へ |
京都会場:京都国立博物館 平成知新館 |
会期:2023年10月7日(土)~12月3日(日) |
開館時間:未定 |
観覧料:未定 |
問い合わせは075-525-2473(テレホンサービス)へ |
詳しくは、展覧会の公式サイト https://tofukuji2023.jp/ |