【開幕】「ルーヴル美術館展 愛を描く」国立新美術館で6月12日まで 70点余りの「愛」の名画が集結 多様な愛のストーリーをひも解く

フランソワ・ブーシェ 《アモルの標的》 1758年 パリ、ルーヴル美術館 撮影・青山謙太郎

「ルーヴル美術館展 愛を描く」が国立新美術館(東京・六本木)で3月1日(水)から6月12日(月)まで開催されます(6月27日(火)から9月24日(日)まで京都市京セラ美術館に巡回)。「愛」をテーマに、ルーヴル美術館が所蔵する70点余りの作品が集結。開幕前の内覧会を取材しました。

無数にある愛のかたちを表現

「愛」と一口に言っても、そのかたちは様々。本展では、性愛、恋愛、親子愛、信仰心など、無数にひろがる愛の概念がいかに描き出されてきたかに迫ります。

手前:ベネデット・ルーティ《キリスト磔刑像の付いた十字架を手に、瞑想するマグダラのマリア》1685~1690年頃 パリ、ルーヴル美術館

特に印象的だったのが、ベネデット・ルーティ《キリスト磔刑像の付いた十字架を手に、瞑想するマグダラのマリア》です。マグダラのマリアが、キリストの十字架像に想いを馳せる様子が描かれています。その表情には、キリストへの思慕の念がにじみ出ていました。

このように、作品に描き出される愛には、人や神の強い思いが込められています。中には、愛が実ったり、愛ゆえに破滅したりと、様々な結末を迎えるものもありました。音声ガイドや解説パネルを頼りに、「この作品のストーリーは?」「この愛の終着点は?」などと想像しながら鑑賞すると、より楽しめます。

展示風景
展示風景
展示風景

26年ぶりに来日した名作

本展で注目したい作品の一つが、ジャン=オノレ・フラゴナール《かんぬき》です。《かんぬき》は、18世紀後半のフランスを代表する画家・フラゴナールの傑作とも言われ、26年ぶりに来日しました。

左:ジャン=オノレ・フラゴナール《かんぬき》1777~1778年頃 パリ、ルーヴル美術館 撮影・青山謙太郎

絵の中の女性が、男性の誘いを拒もうとしたものの、「かんぬき」がかけられた瞬間に、身をゆだねてしまう――。その一瞬の緊迫感が、作品に漂っています。

謎解きも

左:サミュエル・ファン・ホーホストラーテン《部屋履き》1655~1662年頃 パリ、ルーヴル美術館

「これが愛の絵画?」と戸惑う作品も。たとえば、サミュエル・ファン・ホーホストラーテン《部屋履き》は、一見すると室内の情景を描いた作品です。ところが、実は、脱ぎ捨てられた部屋履き、閉じた本、箒、画中画など、細部に意味が込められています。ぜひ会場でじっくりと作品と向き合って、謎を解いてみてください。

本展の“案内人”を務める俳優の満島ひかりさん。手前の作品は、フランソワ・ジェラール《アモルとプシュケ》、または《アモルの最初のキスを受けるプシュケ》1798年 パリ、ルーヴル美術館。 撮影・青山謙太郎

(読売新聞美術展ナビ編集班・美間実沙)

「ルーヴル美術館展 愛を描く」
会場:国立新美術館 企画展示室1E
会期:2023年3月1日(水)~6月12日(月)
開館時間:10:00-18:00 ※毎週金・土曜日は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで
観覧料:一般2,100円/大学生1,400円/高校生1,000円
※3月18日~31日は高校生無料(要学生証提示)
休館日:毎週火曜日 ※ただし3/21(火・祝)・5/2(火)は開館、3/22(水)は休館
詳しくは展覧会サイト(https://www.ntv.co.jp/love_louvre/)で
問い合わせは050-5541-8600(ハローダイヤル)
展覧会twitter:@love_louvre2023
巡回展 京都市京セラ美術館 2023年6月27日(火)~9月24日(日)