「史上最大規模」のフェルメール展 アムステルダム国立美術館 akemiさんレポート

人気作品の周囲は人だかりが絶えません。「真珠の耳飾りの少女」1664‐67、マウリッツハイス美術館蔵

オランダのアムステルダム国立美術館で、「史上最大規模」のフェルメール展を開催中です。約35点とされるフェルメールの現存作品のうち、実に28点を揃えた空前の展覧会。世界の美術ファン垂涎の内容です。会期は2月10日から6月4日まで。「美術展ナビ」でおなじみのきもの好きライター、akemiさんが現地を訪れました。どんな様子だったのか報告してもらいました。

こんにちは!ライターのakemiです。世界的話題のフェルメール展と、レンブラントの《夜警》などを観るために2月下旬、オランダを旅行しました。

アムステルダム国立美術館前です。フェルメール展の予約時間より早めに来て周辺を散策しました。

美術館には《牛乳を注ぐ女》《婦人と召使い》《赤い帽子の女》などをあしらった巨大なポスターが掲示されていました。ほんの一部分だけでもあの作品!と分かります。さすがフェルメールです。


街中にフェルメール展のポスターが掲示されていて、否応なく盛り上がってしまいます。

さあ、ついにやって来ました。

こちらはフェルメール展エントランス前の掲示。フェルメール展と一般の常設展の入り口は分かれています。フェルメール展は事前予約した人しか入れず、当日券はありません。チケットは開幕直後に会期末まで完売しました。

受付で渡されるリストバンドをつけて入場。足元のガイドラインに従って進みます。展示室の入り口が見えてきました。いよいよです。

会場です!こんな雰囲気です。エントランスのデザイン、作品に登場するあの窓ですね。これだけで気分がアガリました。

まず《デルフトの眺望》と《小路》が展示されていました。会場内はそれなりに混雑していますが、少し待てば最前列で鑑賞できました。人数を制限しているので、混乱するほどではありません。

28点もの作品と向き合えて、素晴らし過ぎて言葉がありません。

《真珠の耳飾りの少女》1664‐67、マウリッツハイス美術館蔵

歴史的な名作が次々と。

《牛乳を注ぐ女》1658‐59、アムステルダム国立美術館蔵

《信仰の寓意》、《ヴァージナルの前に座る女》、《窓辺で手紙を読む女》と最近、日本でお目にかかった作品とも再会。嬉しさもひとしおでした。上野の国立西洋美術館でおなじみの《聖プラクセディス》も来ています。顔見知りに外国でお会いしたみたいでした。

《信仰の寓意》 1670‐74、ニューヨーク・メトロポリタン美術館蔵
《ヴァ―ジナルの前に座る女》1670‐72、ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵
《窓辺で手紙を読む女》1657‐58、ドレスデン国立古典絵画館蔵
《聖プラクセディス》1655、国立西洋美術館(寄託)、東京

個人的なお話で恐縮ですが、《デルフトの眺望》、《天秤を持つ女》、《フルートを持つ女》を初めて見ることができました。それを目指してきた訳ではありませんが、コンプリートも夢ではないかも?

《デルフトの眺望》1660‐61、マウリッツハイス美術館蔵
《天秤を持つ女》1662‐64、ワシントン・ナショナルギャラリー蔵
左:《赤い帽子の女》1664‐67、ワシントン・ナショナルギャラリー蔵 右:《フルートを持つ女》1664‐67、ワシントン・ナショナルギャラリー蔵

鑑賞の方々はとにかく熱心。食い入るように見つめてしばらく動かない人もいました。やはり人気作品(《真珠の耳飾りの少女》、《牛乳を注ぐ女》など)の前は人だかりでした。

《マリアとマルタの家にいるキリスト》1654‐55、スコットランド国立美術館蔵
《地理学者》1669、シュテーデル美術館蔵、フランクフルト
《手紙を書く女》1664‐67、ワシントン・ナショナルギャラリー蔵

来場者は欧州の方々が多い印象で、アジア系らしい方は意外と少なかったです。まだコロナ禍の影響でしょうか。とにかく圧倒的な展示でした。

《ヴァ―ジナルの前に立つ女》1670‐72、ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵
《取り持ち女》1656、ドレスデン国立古典絵画館蔵

ちなみに今回の着物のコーディネイトです。「初めて着物を見た!」と女性から声をかけられました(笑)。自分以外、着物姿の方を見かけることはなかったです。(おわり)

【ライター・akemi
きものでミュージアムめぐりがライフワークのきもの好きライター。
きもの文化検定1級。Instagramできものコーディネートや展覧会情報を発信中。コラム『きものでミュージアム』連載中(Webマガジン「きものと」)。

フェルメール展はブルー系でまとめました。濃紺の小紋に名物裂文様の帯。

2011Bunkamura ザ・ミュージアムの「フェルメールからのラブレター展」で購入した《手紙を読む青衣の女》の限定チャームを帯飾りに付けました。