チームラボがオペラ『トゥーランドット』新制作で舞台空間を創造! トゥーランドット姫の闇とカラフ王子の愛の物語に没入 2月23日~26日、東京文化会館

チームラボ、魅惑の空間演出
アート集団チームラボがセノグラフィー(空間演出)を手がける、ジャコモ・プッチーニのオペラ『トゥーランドット』新制作の東京公演が、2月23日 から26日 まで東京文化会館大ホールで行われます。本公演は2022年6月にスイス・ジュネーヴのジュネーヴ大劇場 でワールドプレミアを迎え、「真の総合芸術」(Concert Classic)、などと評され、驚きと賞賛を得ました。開幕前日の22日に行われた舞台リハーサルの模様なども交えながら、公演の見どころをご紹介します。(ライター・菊池麻衣子)
トゥーランドットが抱える恐るべき「闇」
『トゥーランドット』は、「トゥーランドット姫に求婚する男は、彼女の出題する3つの謎を解かなければならない。解けない場合その男は斬首される」という、えげつないルールにもかかわらず、多数の王子たちがチャレンジして命を落とすというストーリーがまず強烈です。それほど姫の美貌は卓越しているのです。それにしてもなぜ姫は、そこまで残忍になってしまったのでしょうか? また、 彼女はその深い闇から救い出せる者は現れるのでしょうか?激動に満ちたストーリーが、 スペクタクルな舞台と歌と音楽で繰り広げられるのがオペラ『トゥーランドット』です。クライマックスで歌われる「誰も寝てはならぬ」は、2006年トリノ五輪のフリースケーティングで金メダルを獲得した荒川静香さんが使用した曲としても話題になりました。
驚異の没入体験 舞台リハーサルレポート
今回の公演の演出を手掛けたダニエル・クレーマーは、自らの解釈とチームラボのテクノロジカルなアートを融合させて構想した結果、 オペラ史上前代未聞の仕上がりになったと語っています。光による立体的な彫刻空間が出現して美と戦慄の瞬間を生み出したり、舞台と観客が境界なく連続して、観客もキャストとともにオペラ空間に没入したりするとのこと!一体どんな風になっちゃうの?さあ、ここからは「美術展ナビ」の読者の皆さんに、舞台リハーサルの様子をお伝えしましょう。

登場人物の感情を伝える光のマジック
ディエゴ・マテウス指揮による演奏が流麗に始まって幕が上がると、そこがワームホールとなって一気に異世界に吸い込まれた感覚に包まれます。そこではレーザー光線や、赤青黄色の光が絶え間なく動いているので、空間が形を変えているように見えます。そして、 この色や形が、オペラの登場人物たちの感情や音楽に絶妙に連動していて、私たちの感情も 一緒に動かすほどのパワーを発揮しているのには驚きました。特に主役であるトゥーランドット姫の心の動きとそれに振り回される周囲の浮き沈みが強烈に波及してきます。カラフ王子と姫の一騎打ちの場面は、姫が負けそうになるたびに大きなショックを受けつつも、徐々に人間に近づく感覚に思わず同化してしまいました。
黄金に輝く多面体から現れるのは・・
それにしても「かつて国を治めていたロウ・リン姫が、異国の男性に騙されて絶望のうちに死んだから彼女に成り代わって復讐をする」という使命感に燃えているとはいえ、そこにこだわるあまり、膨大な人数の命を奪ってきた姫。極悪非道の彼女に、カラフ王子が一途の愛を貫き通すストーリーを納得させてくれる演出として、 中空に浮かぶ不思議な十角形の多面体がありました。この黄金に輝く多面体に入って空から登場する美しいトゥーランドットに 出会ったら、 その神々しさに命をかけても惜しくないと思えるかも? 注目してみてください。

究極のラスト!果たして2人の運命は?
様々な難関を乗り越えた王子に、 さらにダメ押しでわがままを言う姫に対して、王子が再度命を危険にさらして譲歩する愛の提案にはガッツリ心をつかまれます(ただこの提案のおかげでさらに大切な人々の命が奪われることになるのですが……)。「これで惚れないのおかしいでしょー!」と心の中で叫びながら鑑賞する私たちは、 究極のラストへ!

この三角形とひし形の中で展開されるトゥーランドット姫とカラフ王子のシーンはかなり終盤です。果たして二人の運命は? 想像しながら会場へGO!↓の告知動画からも舞台の雰囲気が伝わってくると思います。
フィナーレも普段とは違う?
「トゥーランドット」はイタリアの大作曲家、プッチーニが最後に手がけたオペラです。3幕の後半部分が未完成のまま1924年、プッチーニはこの世を去りました。このため、上演に際しては他の作曲家が補作したものが演奏されます。今回は一般的に利用されるアルファーノ版ではなく、イタリアの現代作曲家、ルチアーノ・ベリオが補作したヴァージョンが使われます。よく耳にする壮大なフィナーレとはかなり違う味わいがあります。見どころ聴きどころ満載の公演にぜひ足をお運びください。
東京二期会オペラ劇場 ジャコモ・プッチーニ 『トゥーランドット』新制作 Turandot / Giacomo Puccini ジュネーブ大劇場との共同制作 オペラ全3幕(ルチアーノ・ベリオによる第3幕補作版<日本語字幕付き原語(イタリア語)上演> |
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会場:東京文化会館 大ホール(東京都台東区上野公園5-45) |
公演日程:2023 年2月23日(木・祝)18:00/24日(金)14:00/25日(土)14:00/26日(日)14:00 |
指揮:ディエゴ・マテウス |
演出:ダニエル・クレーマー |
出演:トゥーランドット 田崎尚美/土屋優子 カラフ 樋口達哉/城宏憲 リュー 竹多倫子/谷原めぐみ 他 |
合唱:二期会合唱団(合唱指揮:佐藤宏) |
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団 |
セノグラフィー、デジタル&ライトアート:チームラボ |
ステージデザイン: チームラボアーキテクツ |
チームラボ「トゥーランドット」公式サイト:https://www.teamlab.art/jp/e/turandot_tokyo/ |
チケット販売: 二期会チケットセンター (TEL: 03-3796-1831) 他プレイガイド各社 |
チケット料金: S:22,200 円、A:18,000 円、B:14,000 円、C:10,000 円、D:6,000 円、E:2,000 円、学生2,000円 *2月24日 (金) 公演は、平日マチネ特別料金=S – B席1,000円引き |
トゥーランドット動画集 (ジュネーヴ大劇場公演より): https://youtube.com/playlist?list=PLUWwYK5rOr5QJa9vblRmVrUqfssdRl2Mx |
東京二期会オペラ劇場: http://www.nikikai.net/ |