【開幕】「速水御舟展」 茨城県近代美術館で3月26日まで 近代日本画の巨匠、画業の全貌を紹介する貴重な機会

右:『花ノ傍』昭和7年(1932) 株式会社歌舞伎座

茨城県近代美術館(水戸市)で始まった「速水御舟展」。開幕前日に行われた内覧会で取材しました。速水御舟(1894~1935)は近代日本画の展開に大きな影響を与えた巨匠ながら、画業の全体像を把握できる大規模展は珍しく、今回は貴重な機会。見逃せません。(美術展ナビ編集班 岡部匡志)

速水御舟展
会場:茨城県近代美術館(水戸市千波町東久保666‐1)
会期:2月21日(火)~3月26日(日)
開館時間:午前9時30分~午後5時(入場は午後4時30分まで)
休館日:会期中無休 ※ただし313日(月)は一部作品展示替えのため企画展示室は休室。所蔵作品展のみ開催。
アクセス:JR水戸駅南口から徒歩20分、バスで「文化センター入口」下車徒歩5分
入場料:一般1,100円、満70歳以上550円、高大生870円、小中生490円
詳しくは(https://www.modernart.museum.ibk.ed.jp/)へ。

妻の弥さんをモデルにした『女二題』。メインビジュアルの『花ノ傍』と並んで目が吸い寄せられる存在感でした。キャリア後半でモダンな表現を追求していました。

左:『女二題 其二』昭和6年(1931) 福島県立美術館蔵、右:『女二題 其一』昭和6年(1931) 福島県立美術館蔵

『京の家・奈良の家』も細密描写を突き詰めた先の単純化。鋭敏な感覚にヒリヒリするものさえ感じました。ひとつのスタイルに安住せず、常に新しい表現に挑戦しました。

『京の家・奈良の家』昭和2年(1927) 東京国立近代美術館蔵

写生や細密描写にこだわった時期の作品も、もちろん見事なものばかり。画面の隅々まで神経が行き届き、やはりひとつひとつ肉眼でじっくり見たい作家です。

左:『黍ノ図』大正13年(1924) メナード美術館蔵
『菊花図』大正10年(1921) 個人蔵
左:『鍋島の皿に柘榴』大正10年(1921) 個人蔵、右:『芍薬図』大正12年(1923) 静岡県立美術館蔵
右:『菊に猫』大正11年(1922) 豊田市美術館蔵

同展は3月26日(日)までで約5週間の会期。お見逃しないよう。同美術館は千波湖を望み、梅の名所の偕楽園も近いです。水戸芸術館もステキです。色々とセットでお出かけしてみてはいかがでしょう。

美術館から見渡せる千波湖。その奥には水戸芸術館のタワーも見えます
水戸といえば、の梅も咲いていました

 30年ほどの短い活動期間ながら、次々と画風を変化させ、近代日本画の中心にあり続けた作家、速水御舟。

速水御舟 昭和5年(1930)

約100点でその画業を振り返ります。詳しくは下記のプレビュー記事などもご覧ください。