【開幕】「仏具の世界 信仰と美のかたち」根津美術館で3月31日まで 仏具のイメージが変わる?!

粉青印花牡丹文厨子 朝鮮・朝鮮時代 15世紀 根津美術館蔵

企画展「仏具の世界 信仰と美のかたち」
会場:根津美術館(東京都港区南青山6-5-1)
会期:2023年2月18日(土)~3月31日(金)
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日
入館料:一般 1,300円/学生1,000円/中学生以下無料
オンライン日時指定予約制(当日券一般1400円も販売)
詳しくは館のホームページ(https://www.nezu-muse.or.jp/

開幕前日の内覧会を取材
「仏具の世界 信仰と美のかたち」展が根津美術館で2月18日から3月31日まで開催されます。日本美術に欠かせない仏教美術品はなんのために作られ、使われたのか? 仏具の目的やシチュエーションを知ることができました。ほかの日本美術展の鑑賞の際にも役立ちそうな内容でした。
「仏を荘厳しょうごんする」「仏性を呼び覚ます」などのキーワードを、空海直筆の座右の銘など、様々な仏教美術品(仏具)を通じて感じとり、理解することができます。

仏を荘厳する

荘厳するとは、仏像や寺院を美しく厳かに飾ることです。こちらのお経は金で書かれているだけでなく、巻物の軸や巻物を納める道具(経帙きょうちつ)も美しく飾られています。

神護寺経(陰持入経) 平安時代 12世紀 根津美術館蔵
神護寺経 経帙 平安時代 12世紀 根津美術館蔵

奈良の当麻寺の8世紀の当麻曼荼羅は4メートル四方の大きな刺繍。鎌倉時代以降、さまざまな大きさに縮小した着色本などが数多く制作されました。本図は4分の1の縮小本でも大迫力です。荘厳された寺院の空間を思い浮かべることができました。

当麻曼荼羅 室町時代 15世紀 根津美術館蔵

仏を供養する

華籠けことは、法会の散華さんげの時に使う花を入れる器です。

彩絵華籠 鎌倉時代 14世紀 根津美術館蔵

仏道を修める

展覧会タイトルで想像していたよりも「華やかな」仏具が続きましたが、やはり寺院の大きな目的は修行です。こちらの袈裟を入れるための箱は、宝相華などのデザインを使いながらも質実剛健な印象です。

重要文化財 宝相華銀平文袈裟箱 平安時代 12世紀 根津美術館蔵

仏性を呼び覚ます

空海直筆の書や愛染明王像などからは、「美しさ」を超えるオーラを感じました。

手前)重要文化財 崔子玉座右銘 空海筆 平安時代 9世紀 大師会蔵 右上)重要文化財 弘法大師像 鎌倉時代 13~14世紀 大師会蔵
重要文化財 愛染明王像 鎌倉時代 13世紀 根津美術館蔵

仏教美術と女性の信仰

女性の信仰に焦点をあてた展示が充実しています。飛鳥時代の女性天皇の斉明天皇時代の仏像の光背や、平安時代に宮廷の女性たちに信仰された普賢菩薩像、江戸時代に武家の女性が着ていた小袖を仕立てた幡(寺院を荘厳する法具)など、見応えがありました。

光背 飛鳥時代 斉明天皇4年(658) 根津美術館蔵
重要文化財 普賢十羅刹女像 平安時代 12世紀 根津美術館蔵

白綸子地花立涌葵藤団扇模様染繍唐幡 江戸時代 弘化4年(1847)銘 国立歴史民俗博物館蔵 前期展示

(読売新聞デジタルコンテンツ部美術展ナビ編集班 岡本公樹)
担当学芸員さんに解説してもらった動画も公開しています。