【プレビュー】「速水御舟展」 近代日本画の中心的存在、その真摯な画業の変遷をたどる 茨城県近代美術館で2月21日開幕

速水御舟《花ノ傍》1932(昭和7)年 紙本彩色・額装 株式会社歌舞伎座

速水御舟展

  • 会期

    2023年2月21日(火)3月26日(日) (休室日:3月13日(月)は一部作品の展示替えのため速水御舟展開催の企画展示室は休室。所蔵作品展のみ開催)
  • 会場

  • 観覧料金

    一般1100(1000)円/満70歳以上550(500)円/高大生870(730)円/小中生490(370)円
    ※()内は20名以上の団体料金
    ※春休み期間を除く土曜日は高校生以下無料
    ※障害者手帳・指定難病特定医療費受給証等を持参の方は無料
    ※3月11日(土)は満70歳以下の方は無料
    ◎WEB予約をおすすめします

  • 開館時間

    09:30〜17:00 (入館は16時30分まで)
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30年という短い画家生活ながら、次々と画風を変化させ、近代日本画の中心にあり続けた日本画家・速水御舟(1894-1935)の画業を3章構成で辿ります。

速水御舟(1894-1935)は、明治の末期から昭和初期にかけて活躍した代表的な日本画家の一人です。明治維新以後、日本が近代化を進める中で、美術の世界、とりわけ日本画は大きな変化を強いられました。その渦中にあって、わずか30年ほどの活動を通じ、御舟はその後の近代日本画の展開に強い影響を与え、その方向性を決定づける仕事を多く遺しました。

速水御舟《洛北修学院村》1918(大正7)年 絹本彩色・額装 滋賀県立美術館
速水御舟《菊花図》1921(大正10)年 紙本金地彩色・四曲一双屏風(左隻)
速水御舟《菊花図》1921(大正10)年 紙本金地彩色・四曲一双屏風(右隻)

古画の模写、写生に基づく叙情的な作品、大正期の精緻を極めた写実描写、そして古典的な絵画への回帰、単純化と平面性を伴う画風へと変化する作品には、一人の画家とは思えないほどの多彩な表現が見られます。ただ、そこには対象の真実に肉薄しようとした、御舟の一貫した姿勢を見ることができます。それは近代という時代に西洋と対峙する中で、日本画が直面せざるをえなかった様々な問題に真摯に向き合った結果ともいえます。

《菊に猫》1922(大正 11)年 絹本彩色・軸装 豊田市美術館
速水御舟《牡丹》1926(大正15年) 絹本彩色・軸装 遠山記念館

この展覧会では本画約100点と素描により、型にはまることを嫌い、振幅の激しい画業を通して描くことの意味を問い続けた、御舟の画家としての道筋をあらためて振り返ります。

速水御舟《椿花妍彩》1926(大正15)年 紙本彩色・軸装 個人蔵(フジカワ画廊協力)
《秋興》1929(昭和4)年 絹本彩色・軸装

また地方では15年ぶりとなる久々の速水御舟展です。速水御舟の近代美術史における評価は極めて高いにも関わらず、これまで御舟の大規模な展覧会が地方で開かれることは極めて稀でした。近年では2008年の平塚市美術館以降は開催されておらず、本展は御舟の芸術をより多くの人たちに紹介することができる貴重な機会になります。

茨城県近代美術館

(美術展ナビ編集班 岡部匡志)