【BOOKS】大人こそ読むべき!『小学館の図鑑NEOアート 図解 はじめての絵画』は究極の「初心者向け鑑賞ガイド」

※写真はすべて小学館提供

令和時代の子供向け学習図鑑といえば「小学館の図鑑NEO」シリーズが有名です。本屋さんで「いい図鑑ないですか?」と尋ねると、真っ先にオススメされる不動の定番のひとつです。そんな図鑑NEOから、アート分野での初めての刊行となる『小学館の図鑑NEOアート 図解 はじめての絵画』が発売されました。ずっしりと重みがあり、これぞ図鑑という感触です。

結論からいうと、本書は大人こそ読むべき究極の「初心者向け鑑賞ガイド」でした。古今東西の名画約360点を掲載するなど、図鑑ならではの充実した情報量に加え、解説が非常に明快なのでアート入門者でも安心して読めます。グラフィックなども交えて小学生でも理解できるレベルまで噛み砕いて説明されているため、各作品の魅力や鑑賞のポイントをつかめるのです。難しい表現を一切使わず、絵の本質をわかりやすく伝えようとする姿勢が徹底的に貫かれていました。

また、見開きごとにワンテーマで特集されているので、その日の気分でランダムに開いて楽しめます。各ページでは、「表現技法」や「モチーフ」など、名画を見るときに勘所となるポイントを1つに絞り込んで特集。名画同士を見比べたり、モチーフを拡大したり、折込ページになっていたり、時には(小学館らしく)ドラえもんが登場したりと、どのページにもワクワクするような意外性が詰まっていました。

さらに、名画の鑑賞法だけでなく、絵の具・カンヴァスといった各画材、美術館や展覧会の舞台裏など、周辺知識も合わせて紹介。絵画鑑賞についての知識や教養が、より総合的に身につくような構成なのも嬉しいところです。

カラー図版の美しさも抜群。最良の図版を掲載するため世界中の美術館から高精細画像を取りよせたり、『日本美術全集』を手がけたプリンティング・ディレクターが何度も刷り上がりををチェックするなど、同社のカラー印刷へのこだわりが遺憾なく反映されていました。

隅々まで読み込めば、絵画の鑑賞力は相当つくはずです。寝る前など、気分転換に好きなページをめくってみるのも良いでしょう。ぜひ、童心に帰って自由に楽しんでみてください。

定価は2,970円。購入は書店や小学館の特設サイト、各オンライン書店にて。試し読みもコチラからできます。

(ライター・齋藤久嗣)