ウクライナ侵攻1年、絵画による抵抗 ジャン=ピエール・レイノーの「現代版ゲルニカ」が2月24日にパリでお披露目

ロシアのウクライナ侵攻からちょうど1年となる2023 年 2 月 24 日に、パリのパンテオン=ソルボンヌ大学で、フランスの現代美術家ジャン=ピエール・レイノーによる「現代版ゲルニカ」の除幕式が開催される。同作品は、ウクライナの人々に寄贈され、近い将来、ウクライナ国内の選ばれた美術館で展示されることになっている。

いまや、1937 年に制作されたパブロ・ピカソのゲルニカは、戦争による暴力を告発する普遍的なシンボルになっている。ピカソは、この横 7㍍を超える巨大なキャンバスを戦争の犠牲者に捧げただけでなく、戦争による暴力の恐ろしさを全世界に糾弾すべくキャンバスに表現した。ピカソは「絵画は、敵に対する攻撃にも防御にもなる兵器なのだ」と語っている。

ジャン=ピエール・レイノーは現在、この象徴的なキャンバスの正確な寸法 (3.49㍍ x 7.76㍍) を復元し、独自の表現で現代版を制作している。

JR立川駅北口の「ファーレ立川」にあるレイノーの赤い植木鉢

レイノーといえば、セメントで固められた何も生えてこない赤い植木鉢や、正方形の白いタイルだけでできた家や「進入禁止」の標識の作品シリーズで知られている。一見、冷たい記号的な表現で世界と人間の関係の不条理を表現してきた。

レイノーにより、一体どんな現代版ゲルニカが出来上がるのか。1日も早く戦争の終焉を願いつつ、2月24日を待つ。

除幕式当日は、在仏ウクライナ大使であるヴァディム・オメルチェンコ大使、パンテオン=ソルボンヌ大学(パリ第1大学)のクリスティーヌ・ノ=ルデュック学長、およびアーティスト自身が一堂に会し、また1937年に制作されたゲルニカのレプリカも展示される予定だ。(キュレーター・嘉納礼奈)

※本紙に寄稿しているキュレーターの嘉納礼奈さんも当日の除幕式に参加。後日、現場の様子をレポートする予定です。