【レビュー】「日本の切り絵 7人のミューズ」そごう美術館で3月19日まで 紙から生み出される華麗な世界

日本の切り絵 7人のミューズ |
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会場:そごう美術館(横浜市西区高島2-18-1 そごう横浜店 6階) |
会期:2月4日(土)〜3月19日(日) 会期中無休 |
開館時間:午前10時〜午後8時(入館は閉館の30分前まで) ※2月16日(木)は午後7時閉館 |
入館料:一般1,200円、大学・高校生1,000円、中学生以下無料 |
◇出品作家:蒼山日菜、SouMa、筑紫ゆうな、福井利佐、切り剣Masayo、松原真紀、柳沢京子 |
詳しくは(https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/archives/23/muses/)へ。 |
「切り絵」は、紙をハサミやカッターで切り抜いて台紙に貼り絵を描き出す技法。本展では、日本を代表する切り絵作家7人の100点を超える作品が展示されています。紙を超絶技巧で切り抜いた繊細な作品から、1枚の紙から作ったとは思えない立体的な作品、色彩豊かな作品など、7人7様の手法で個性豊かな切り絵の世界が繰り広げられています。切り絵の世界の奥深さに驚くことでしょう。
超絶技巧!瞬きも息をするのも忘れ

取材した日はNHK Eテレ『趣味どきっ!』の『奥深き切り絵の世界』の講師でもある蒼山日菜さんの実演がありました。道具はシンプルで、小さなハサミと、表が白で裏が黒の紙のみです。ハサミは切り絵用の特注で、紙は折り紙くらいの薄さですが、丈夫で切り屑が出にくいものだそうです。

実演は紙にシャープペンシルで下絵を描くところから始まりました。次にハサミの下の刃を紙に突き刺し切り始めます。ハサミを動かすのではなく、紙を細かく動かしながら切っていきます。映し出される手元を見つめていると、あまりにも繊細な作業で瞬きするのも息をするのも忘れそうになりました。繊細な切り絵作品を生み出す技の一端を見学できて貴重なひとときでした。

そんな細かい作業をしながら蒼山さんは、生い立ちからフランスで切り絵を始めたころの話、『趣味どきっ!』の収録裏話、最近の制作や自身が運営する切り絵教室の話まで、巧みなトークを繰り広げ、観客の耳も飽きさせなかったのも驚きました。
蒼山さんの作品作りは、通常一円玉大の切り絵で1、2時間かかるそうです。また、切り絵はかなり集中するため、瞑想と同じ効果があり、切り絵の後は記憶力も高まるそうです。

左から《Constellation(星座) OMEGA Tokyo2020 Olympic》《De ville (街) OMEGA Tokyo2020 Olympic》《Speed Master(宇宙) OMEGA Tokvo2020 Olvmpic》《Sea Master (海) OMEGA Tokyo2020 Olympic》 2021年

7人7様個性豊かな切り絵の世界
会場では7人の切り絵作家ごとに作品が展示されています。
蒼山日菜さんのレース編みに例えられる超絶技巧の繊細さ、切り剣Masayoさんの墨絵のような世界、SouMaさんのとても1枚の紙から作ったとは思えない立体的な作品など、切り絵の世界の幅広さ、層の厚さを知ることができました。
蒼山さん以外の6人の個性豊かな切り絵の世界の一部をご紹介します。






(ライター・akemi)
【ライター・akemi】
きものでミュージアムめぐりがライフワークのきもの好きライター。
きもの文化検定1級。Instagramできものコーディネートや展覧会情報を発信中。コラム『きものでミュージアム』連載中(Webマガジン「きものと」)。
展覧会に合わせたコーディネート:今回は切り絵にも見えるアラベスク柄の帯に無地の背景に見える江戸小紋「行儀」のきものをコーディネート。江戸小紋は、江戸時代に武家の裃の文様として発展し、将軍家や各藩が固有の柄(留柄または定め小紋という)を用いていました。「行儀」は仙台藩伊達家の留柄です。