京都市京セラ美術館が2023年度の展覧会を発表 10月に竹内栖鳳展 来年2月に村上隆展 開館90周年を記念

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京都市京セラ美術館が2023年度の展覧会情報を発表しました。京都市美術館の開館90年を記念して、10月7日から「竹内栖鳳(仮称)」展や、2024年2月3日から「村上隆(仮称)」展が開催されます。

京都市美術館開館90周年記念展「竹内栖鳳(仮称)」

竹内栖鳳《絵になる最初》1913年 重要文化財 京都市美術館蔵

京都出身の竹内栖鳳(1864~1942年)は、近代京都の日本画界に最も大きな影響を与えた画家です。明治期には、新たな日本画表現を模索して西洋にも渡りました。「写生」を重要視した自然への視点、抜群の筆力で描かれた鮮やかな作品で、近代日本画の境地を拓きました。
円熟に達した大正・昭和期には、第1回文化勲章を受章するなど、画壇の重鎮として第一線で活躍しながら、多くの弟子を育成したことでも知られています。

竹内栖鳳《清閑》1935年頃 京都市美術館蔵
竹内栖鳳《潮沙永日》1922年 京都市美術館蔵

本展では、重要文化財《絵になる最初》をはじめ、若手時代から円熟期まで、竹内栖鳳の代表作を集めて展示。本画に加え、制作にまつわる写生や下絵、古画の模写なども紹介し、画業の全容を浮かび上がらせます。
会期は10月7日(土)~12月3日(日)(前期10月7日~11月5日、後期11月7日~12月3日)。本館南回廊1階にて。

京都市美術館開館90周年記念展「村上隆(仮称)」

日本人の現代アートのトップランナー村上隆(1962年~)の個展が、国内で約8年ぶり、東京以外では初めて開催されます。マンガやアニメといったポピュラーカルチャー、ファッションアイコンなどの引用やそれらとのコラボを通して、アートの価値や意味を問いかけてきた村上隆。本展では、京都とその歴史を参照した新作も構想されています。
2024年2月3日(土)から6月30日(日)まで、新館東山キューブにて開催します。

コレクションルーム

京都市京セラ美術館は、近代以降の京都の美術を中心に約4000点のコレクションを誇ります。このたぐいまれなコレクションを通年で堪能できるように美術館リニューアル時に新設されたのが「コレクションルーム」です。

春期(3月10日~6月18日) 特集「魅惑の昭和モダン」

京都市美術館が90年前に開館した1933年を含む昭和初期(1930年代頃)の絵画や工芸作品を中心に展示し、昭和当時の「モダン」を味わえます。

丹羽阿樹子《ゴルフ》昭和初期 京都市美術館蔵
徳力彦之助《双曲線的なるラヂオセット》1934年 京都市美術館蔵

夏期(6月23日~9月24日) 特集「人間国宝 稲垣稔次郎―遊び心に触れて―」

型絵染の重要無形文化財保持者(人間国宝)だった稲垣稔次郎(1902~1963年)の作品を紹介します。

稲垣稔次郎《[二匹の虎]》1955年頃 京都市美術館蔵

秋期(10月27日~12月17日) 特集「Tardiologyへの道程」

野村仁(1945年~)が発表したダンボールの板で組み上げられた高さ8メートルに及ぶ巨大な作品。その構築物が時間の経過とともに崩壊していく様子を撮影した写真が《Tardiology》として残りました。

野村仁《Tardiology》1968年 京都市美術館蔵

冬期(12月22日~2024年2月25日) 特集「昭和前期の日本画と古典」

昭和前期の日本画を紹介し、その創造の源泉となった「古典」へのまなざしに迫ります。

梥本一洋《鵺》1936年 京都市美術館蔵
菊池契月《交歓》1938年 京都市美術館蔵

(読売新聞デジタルコンテンツ部美術展ナビ編集班 岡本公樹)