【プレビュー】特別展「世界遺産登録10周年記念 富士と桜 ―北斎の富士から土牛の桜まで―」山種美術館で3月11日から

葛飾北斎《冨嶽三十六景 凱風快晴》1830(文政13)年頃 大判錦絵 山種美術館[前期展示 3/11-4/16]

古くからさまざまな芸術の源泉となってきた日本の象徴・富士山。2013年にユネスコの世界遺産に登録されて、2023年で10周年を迎えます。

山種美術館で3月11日(土)から5月14日(日)まで開催される特別展「世界遺産登録10周年記念 富士と桜 ―北斎の富士から土牛の桜まで―」では、富士山を描いた日本画と浮世絵を中心に、同じく日本の象徴である桜を題材とした日本画もあわせて紹介。富士山の世界遺産登録10周年という記念の年を華やかに祝います。

特別展「世界遺産登録10周年記念 富士と桜 ―北斎の富士から土牛の桜まで―」
会場:山種美術館(東京都渋谷区広尾3-12-36)
会期:3月11日(土)~5月14日(日)
※ 会期中、一部展示替えあり。前期:3/11(土)-4/16(日) 後期:4/18(火)-5/14(日)
開館時間:午前10時~午後5時 (入館は午後4時30分まで)
※今後の状況により、会期・開館時間等は変更する場合があります。
休館日:月曜日 (但し、5/1(月)は開館)
アクセス:【徒歩】JR恵比寿駅西口、東京メトロ日比谷線恵比寿駅2番出口から徒歩約10分
【バス】恵比寿駅西口1番乗り場より日赤医療センター前行都バス(学06番)に乗車、「広尾高校前」下車徒歩1分、または、渋谷駅東口ターミナル54番乗り場より日赤医療センター前行都バス(学03番)に乗車、「東4丁目」下車徒歩2
入館料:一般1300円、中学生以下無料 (付添者の同伴が必要です)
【春の学割】大学生・高校生500 円 ※本展に限り、 特別に入館料が通常 1,000 円のところ半額になります。
問い合わせ:050-5541-8600 (ハローダイヤル 電話受付時間: 9:00~20:00)
※詳細情報はホームページ(https://www.yamatane-museum.jp/)へ。

巨匠たちによる富士図の競演

いつの時代も人々を惹きつけ、描き継がれた富士山。本展では、葛飾北斎の《冨嶽三十六景》や、歌川広重の《東海道五拾三次》をはじめ、富士山を繰り返し描いた画家・横山大観の作品や、小松均の燃えるような《赤富士図》など、巨匠たちが描いた個性豊かな富士図が一堂に会します。

歌川広重《東海道五拾三次之内 原・朝之富士》1833-36(天保4-7)年頃 大判錦絵
山種美術館[後期展示 4/18-5/14]
歌川広重《東海道五拾三次之内 由井・薩埵嶺》1833-36(天保4-7)年頃 大判錦絵
山種美術館[前期展示 3/11-4/16]
横山大観《霊峰不二》1937(昭和12)年 絹本・彩色 山種美術館
小松均《赤富士図》1977(昭和52)年 紙本・彩色 山種美術館
橋本関雪《夏日富嶽》1925(大正14)年 絹本・彩色 山種美術館

北斎絵本の最高傑作『富嶽百景』

《冨嶽三十六景》を発表した後も、富士山という主題を追求し続けた北斎。その集大成であり、北斎絵本の最高傑作と言われる『富嶽百景』(個人蔵)も特別公開されます。

葛飾北斎 画『富嶽百景』(二編)のうち「登龍の不二」 1835(天保6)年 墨摺絵本 個人蔵
[当該頁は前期展示 3/11-4/16]※会期中、頁替えあり

奥村土牛《醍醐》とゆかりの桜「太閤千代しだれ」

本展では、近代・現代の日本画家が手がけた桜の名画、そして、山種美術館のコレクションを代表する作品のひとつ、奥村土牛の《醍醐》も展示されます。

奥村土牛《醍醐》1972(昭和47)年 紙本・彩色 山種美術館

この作品のモデルとなっている桜は、京都・総本山醍醐寺の「太閤しだれ桜」。その桜を組織培養した苗木「太閤千代しだれ」は2021年11月に美術館の玄関に植樹されました。開花すれば、絵画だけでなく、本物の桜も私たちを出迎えてくれることでしょう。気分華やぐ春が待ち遠しくなる展覧会です。

※文中のうち、所蔵先表記のない作品は、すべて山種美術館蔵

横山大観《山桜》1934(昭和9)年 絹本・彩色 山種美術館
菱田春草《桜下美人図》1894(明治27)年 絹本・彩色 山種美術館
松岡映丘《春光春衣》1917(大正6)年 絹本・彩色
山種美術館
小茂田青樹《春庭》1918(大正7)年 絹本・彩色 山種美術館
速水御舟《あけぼの・春の宵》のうち「春の宵」 1934(昭和9)年 紙本・彩色 山種美術館
千住博《夜桜》2001(平成13)年 紙本・彩色 山種美術館

(読売新聞美術展ナビ編集班)