トーハクに新しい常設展示室「デジタル法隆寺宝物館」が1月31日に開室 国宝「聖徳太子絵伝」の原寸大複製などを展示

東京国立博物館(東京・上野)の法隆寺宝物館内に、新しい常設展示室「デジタル法隆寺宝物館」が1月31日に開室します。常時展示がかなわない法隆寺ゆかりの名品を、複製やデジタルコンテンツで詳しく鑑賞・体験する場となります。総合文化展の観覧料で見ることができます。
東博は、明治時代に法隆寺から皇室に献納された300件あまりの宝物(法隆寺献納宝物)を所蔵しています。そのうち、国宝「竜首水瓶」や国宝「灌頂幡」などの金属製品は、特別展などで出展される時以外は、法隆寺宝物館でほぼ常設の形で展示されています。しかし、国宝「聖徳太子絵伝」のような絵画作品は、保存のため長期間の展示ができません。
今回の「デジタル法隆寺宝物館」は、2018年に国立文化財機構に設置された文化財活用のためのナショナルセンター「文化財活用センター」と東博が開室。1月31日から7月30日までは、この国宝「聖徳太子絵伝」全10面の原寸大複製を、ガラスケース無し、明るい照明下で、じっくりと間近で鑑賞できます。

また、聖徳太子絵伝の高精細画像を大型8Kモニターに映して、タブレット端末で見たい部分を大きく拡大し、さまざまな箇所に描かれた聖徳太子の表情を確認することができます。
担当した文化財活用センター主任研究員の西木政統さんは、「聖徳太子絵伝は、かつて法隆寺の絵殿という建物の内側の3面に並んでいました。今回、同じように、全10面の複製を3つの壁で囲うように展示しています。絵伝には50以上の聖徳太子の逸話が描かれていますが、時代順というわけではありません。法隆寺のある斑鳩を正面に、右側が飛鳥、左側が難波や海の向こうの中国などと、場所ごとに色々な聖徳太子が描かれていますので、有名なエピソードを探すヒントにしてみてください」と話していました。

8月1日から2024年1月28日までは、かつて法隆寺の金堂の内壁(外陣)にあり1949年の火災で焼損した「法隆寺金堂壁画」を撮影した写真ガラス原板をスキャンした高精細デジタル画像を、会場の8Kモニターで鑑賞する展示になります。その後も、年の前半は聖徳太子絵伝、後半は法隆寺金堂壁画の展示が行われます。
(読売新聞デジタルコンテンツ部美術展ナビ編集班 岡本公樹)
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