教科書でおなじみ!近松門左衛門「国性爺合戦」などの名作を文楽公演 国立劇場で2月4日から21日まで

国性爺合戦

歴史の教科書で必ず出てくる近松門左衛門(1653~1725年) は、人形浄瑠璃(現在の文楽)や歌舞伎の作者として知られています。日本文学史上に燦然と輝く傑作「国性爺合戦こくせんやかっせん」「女殺油地獄おんなころしあぶらのじごく」「心中天網島しんじゅうてんのあみじま」の3作品を、国立劇場(東京・半蔵門)の文楽公演で上演します。

心中物の最高傑作「心中天網島」

心中天網島

「曽根崎心中」と並び、近松心中物の最高傑作と評価される「心中天網島しんじゅうてんのあみじま」は享保5年(1720年)に竹本座で初演されました。近松は、同年10月に大阪・網島の大長寺(大阪市都島区)で起きた実際の心中事件をもとに書きました。避けようとしても避けられなかった悲劇を描きます。特に、紙屋治兵衛を愛する二人の女、紀伊国屋小春と妻おさんが、「最悪の悲劇」を避けるために、互いに義理を果たそうとする姿が本作品の大きな見どころであり、本作は「女たちの物語」でもあります。

大スケールで描く時代物の金字塔「国性爺合戦」

国性爺合戦

国性爺合戦こくせんやかっせん」は、中国人の父、日本人の母を持ち、台湾で清朝に抵抗した明の遺臣鄭成功を題材に、日本と中国大陸を股にかけた壮大な大スケールで描く時代物の金字塔です。ドラマチックな展開と異国情緒あふれる物語は、正徳5年(1715年)11月の初演から17か月ものロングランを記録しました。

鄭成功がモデルの青年・和藤内が主人公。佞臣の裏切りにより韃靼国に滅ぼされた大明国の再興のため、中国人の父と日本人の母とともに中国大陸へ渡った和藤内は、元明国の将軍である五常軍甘輝を味方に引き入れるべく、今は彼の妻となっている腹違いの腹違いの姉・錦祥女を訪ねます。力ずくで話をつけようとする和藤内を制して、錦祥女と老母は、何とか甘輝の説得を試みます。
「夫が味方になれば白粉を、敵となるなら紅を流す」と錦祥女は約束し、和藤内は城の外でその知らせを待ちますが、女たちの必死の説得もむなしく、水路には紅が流れ、物語は一気に和藤内と甘輝という二人の英雄が対峙するクライマックスへ。

虚無と衝動殺人を描いた「女殺油地獄」

女殺油地獄

女殺油地獄おんなころしあぶらのじごく」は、「心中天網島」初演の翌年、享保6年(1721年)7月に竹本座で初演されました。「天網島」と同様、実際に起こった殺人事件をもとにしたといわれています。
主人公の河内屋与兵衛は、借金で首が回らなくなり、遊ぶ金欲しさについに殺人を犯します。忠義や義理のため、やむにやまれず人に手をかけることが多い浄瑠璃のキャラクターの中でも、与兵衛の造形は特に異質。殺されるお吉は、与兵衛と色恋沙汰もなく、与兵衛にとっては姉のような存在でした。家業をかえりみぬ与兵衛のことを思うがゆえに、更生させようとして、無残にも殺されてしまいます。衝動的に刃を手にする与兵衛の姿は、現代の“キレる”にも通ずる普遍性を帯びており、まるで近代心理劇を見ているかのように緊迫感が全編を漂います。
人間では表現することが難しい、人形ならではの激しい動きで、油にまみれながら繰り広げられる凄惨な”殺し場”が見どころです。

初代国立劇場さよなら公演 2月文楽公演「近松名作集」
会場:国立劇場小劇場(東京都千代田区隼町4-1)
公演期間:2023年2月4日(土)~21日(火)
第1部 心中天網島(午前11時開演)
第2部 国性爺合戦(午後3時15分開演)
第3部 女殺油地獄(午後6時30分開演)
料金(各部ごと) 1等席 7,000円(学生4,900円)/2等席 6,000円(学生4,200円)
問い合わせ:国立劇場チケットセンター 0570-07-9900(午前10時~午後6時、一部IP電話などは03-3230-3000
詳しくは国立劇場公式サイト

(読売新聞デジタルコンテンツ部美術展ナビ編集班)