【プレビュー】「本と絵画の800年 吉野石膏所蔵の貴重書と絵画コレクション」練馬区立美術館で2月26日から

シャルル・ペロー『眠れる森の美女・赤ずきん:ふたつの寓話』 エラニー・プレス 1899年 吉野石膏コレクション

建材メーカーとして知られる吉野石膏株式会社が長年収集してきた絵画コレクションと、吉野石膏美術振興財団のアートライブラリーが有する貴重書のコレクションから、絵画と本との結びつきに注目して選ばれた約200点の作品が紹介される展覧会「本と絵画の800年 吉野石膏所蔵の貴重書と絵画コレクション」が、練馬区立美術館にて2月26日から4月16日まで開催されます。

本と絵画の800 年 吉野石膏所蔵の貴重書と絵画コレクション
会場:練馬区立美術館(東京都練馬区貫井1-36-16)
会期:2023年2月26日(日)~4月16日(日)
休館日:月曜日
アクセス:西武池袋線(東京メトロ有楽町線・副都心線直通)中村橋駅から徒歩3分
入館料:一般1, 000円、高校・大学生および65~74歳800円、中学生以下および75歳以上無料※無料・割引対象者は要証明書
詳しくは美術館のサイト(https://www.neribun.or.jp/museum.html)へ。

美しい手仕事

15世紀半ばに印刷術が誕生する以前は、本はすべて人の手によって作られていました。金や様々な色で装飾と挿絵を施した「彩飾写本」の美しい手仕事の歴史と制作方法を紹介します。

時祷書零葉(聖セバスティアヌス受難の場面) 1435年頃 吉野石膏コレクション

「写本」から「印刷本」へ

活版印刷の登場によって、やがて「写本」は「印刷本」へと移っていきます。世界で最も美しい本とも評されるルネサンスの印刷本『ヒュプネロトマキア・ポリフィリ』を展示。テキストとデザインが見事に調和したレイアウトは必見です。

中世・ルネサンスへのあこがれ

19世紀のイギリスでは、中世・ルネサンス期の書物への関心が高まり、ウィリアム・モリスによるケルムスコット・プレスが設立されるなど、美しい本づくりを目指した小規模な出版所がロンドンを中心に誕生します。

その一つである印象派の画家カミーユ・ピサロの息子リュシアン・ピサロが設立したエラニー・プレスの作品を、吉野石膏美術振興財団のアートライブラリーは数多く所有しており、本展では国内随一を誇るエラニー・プレスのコレクションを紹介します。
「美しい本」がやがて芸術となる、同時代の書物と絵画を鑑賞することで、両者が関わり合いながら歩んできた歴史をひも解いていくことができるでしょう。

カミーユ・ピサロ《ロンドンのキューガーデン、大温室前の散歩道》 1892年 油彩・カンヴァス 吉野石膏コレクション
ピエール=オーギュスト・ルノワール《庭で犬を膝にのせて読書する少女》 1874年 油彩・カンヴァス 吉野石膏コレクション

(読売新聞デジタルコンテンツ部美術展ナビ編集班)

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