【動画】「佐伯祐三 ―自画像としての風景」東京ステーションギャラリーの冨田館長が見どころ解説

《郵便配達夫》などの代表作が並ぶ「佐伯祐三 ―自画像としての風景」が東京ステーションギャラリーで1月21日から4月2日まで開催されています。佐伯祐三(1898~1928年)の回顧展は、東京では実に18年ぶり。「洋画界のスーパースター」と高く評価する同ギャラリー館長の冨田章さんに見どころを聞きました。

レンガの壁と佐伯のパリの壁のマリアージュ

「佐伯祐三」展は、実は当館にとって待望の展覧会です。
一つは洋画を紹介するが館(東京ステーションギャラリー)の一つの方針ですので、佐伯祐三という洋画界のスーパースターを紹介できること。
それからもう一つは、ご覧のように当館の展示壁はレンガでできています。およそ100年前、佐伯祐三が活躍したのと同じころに建てられた建物(重要文化財)です。レンガの荒々しいマチエールの中で佐伯のパリの壁の表現、これを見ていただきたいと思っていました。レンガの壁と佐伯のパリの壁のマリアージュをぜひご覧ください。

第2章「パリ」展示風景

早いタッチで描かれた線描

佐伯の絵の特徴に、非常に早いタッチで描かれた線描があります。
パリの壁の重厚な表現も一つの特徴ですが、例えば画面の中に描かれた文字、あるいは椅子の脚に見られるような線ですね。
こういう線をかなり速いスピードで描いています。
速いからといって乱暴にいい加減に描いているのではなく、相当計算した上で勢いのある速い線で描いています。
速く描くことによって躍動感や生命感が画面に生まれました。
これは佐伯の絵の非常に大きな特徴であり、最大の魅力の一つになっています。

《郵便配達夫》について

《郵便配達夫》という作品は、佐伯の遺作と言っていい作品と思います。最晩年の佐伯が体の具合が悪くなり病に伏している時に描かれました。
病気の画家が描いたとは思えないほど、非常に力強くて生命力にあふれています。
恐らく数時間で描いたと思われる作品ですが、本当にこの生き生きとした躍動感は驚くほどです。
この後 半年も経たないうちに佐伯は亡くなってしまいます。最後の輝きをここで見せました。少し経つと佐伯は絵筆も握れなくなってしまいます。
もう一つ この絵について言いたいことは、郵便配達夫と言うと、ゴッホの《郵便配達夫ジョゼフ・ルーラン》が思い浮かぶのではないでしょうか。実は佐伯はゴッホのことを非常に敬愛していました。ゴッホへのオマージュ、そんな気持ちが生涯の最後にこういう形で表れたのかなと考えています。

エピローグ「人物と扉」展示風景。右から《郵便配達夫(半身)》《郵便配達夫》《ロシアの少女》(いずれも大阪中之島美術館蔵)

(動画撮影・編集 読売新聞デジタルコンテンツ部 岡本公樹)

佐伯祐三 ―自画像としての風景
東京ステーションギャラリー
会期:2023年1月21日(土)~4月2日(日)
開館時間:10:00~18:00(金曜日~20:00)*入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(3月27日は開館)
入館料:一般 1,400円、高校・大学生 1,200円、中学生以下無料
大阪中之島美術館:4月15日(土)~6月25日(日)
詳しくは展覧会公式ホームページ(https://saeki2023.jp/)へ。

◇開幕記事


◇展示構成などはプレビュー記事で