【開幕】「大阪の日本画」大阪中之島美術館で4月2日(日)まで 北野恒富をはじめ約60名の画家が描き出す「大阪」

大阪の日本画
会場:大阪中之島美術館 (大阪市北区中之島 4-3-1)
会期:2023年1月21日(土)~4月2日(日)
前期展示 1月21日~2月26日、後期展示 2月28日~4月2日
休館日:月曜日(ただし3月20日は開館)
開場時間:10:00~17:00(入場は16:30まで)
観覧料:一般  1,700円(1,500円)、高大生 1,000円(800円) 小中生以下無料
( )は前売・20名以上の団体料金
詳しくは(https://nakka-art.jp)へ。
巡回:東京ステーションギャラリー 2023年4月15日(土)~6月11日(日)

東京や京都に比べて、「知られざる」というイメージが強い「大阪の日本画」。その魅力を掘り下げる展覧会「大阪の日本画」が大阪中之島美術館で1月21日(土)から4月2日(日)まで開催されています。明治から昭和にかけて大阪で活躍した約60名の作家による166点の作品を紹介(展示替えあり)。開幕前の内覧会を取材しました。

北野恒富ら 画家の個性が宿る人物画

北野恒富《紅葉狩》大正7年(1918年)大阪中之島美術館蔵 ※展示期間:1/21~2/26

近代大阪を代表する巨匠のひとり・北野恒富の作品が冒頭からずらり。恒富といえば妖艶な人物画で知られていますが、大正末から昭和期にかけて、《宝恵籠ほえかご》など(※)大阪の風俗を題材とした作品を多く描きました。

※「宝恵籠」とは、大阪で1月10日の十日えびすに行われる駕籠行列のこと。

北野恒富 左:《風》大正6年(1917年)広島県立美術館蔵 右:《鷺娘》大正前期 木原文庫蔵 ※展示期間:ともに1/21~2/26
北野恒富《宝恵籠》昭和6年(1931年)頃 大阪府立中之島図書館蔵

退廃的な美しさが漂う《風》(展示期間:1/21~2/26)から気品に満ちた《宝恵籠》まで、恒富が描き出す女性の内面が変遷していることを実感します。

恒富のほか、恒富の門下の中村貞以ていいなど、大阪の人物画を牽引した画家たちの作品も並びます。それぞれの作品に、画家の強烈な個性がほとばしっていました。

中村貞以《失題》大正10年(1921年)大阪中之島美術館蔵
「第1章 ひとを描くー北野恒富とその門下」の展示風景

大阪の文化をあたたかく軽やかに描く

菅楯彦《浪華三大橋緞帳》昭和32年(1957年)頃 株式会社大阪美術倶楽部蔵

古き良き大阪を愛し、その文化や風景を親しみを込めて描いたのが、菅楯彦や生田花朝です。菅楯彦《浪華三大橋緞帳》、生田花朝《だいがく》(展示期間:1/21~2/26)や《天神祭》などは、活気にあふれ、あたたかみや軽やかさも感じられます。これらの作品は、大阪の人々の感性を刺激し、人気を博しました。

生田花朝《だいがく》昭和時代 大阪府立中之島図書館蔵 ※展示期間:1/21~2/26
生田花朝《天神祭》昭和10年(1935年)頃

独自の文人画を追求

煎茶をはじめとする中国趣味が栄えた大阪では、矢野橋村きょうそんらによって、独自の感覚を織り交ぜた文人画も発達します。橋村は、日本の風土に基づいた新しい南画(文人画)を模索しました。和歌山県の那智御瀧を描いた《那智奉拝 》はダイナミック。

矢野橋村《那智奉拝 》昭和18年(1943年)大阪市立美術館蔵

一方で、田能村直入《花鳥図》など色鮮やかな作品も。水墨画だけにとどまらない、文人画の幅広い表現も興味深いです。

「第4章 文人画ー街に息づく中国趣味」の展示風景。手前が田能村直入《花鳥図》弘化4年(1847年)滋賀県立美術館蔵 ※展示期間:1/21~2/26

様々な画家が独自の目線で描き出した「大阪」

大阪で活躍した画家たちは、必ずしも大阪出身ではありません。たとえば北野恒富は石川県金沢市出身で、菅楯彦は現在の鳥取市出身です。

また大阪では、富裕層を中心に子女に絵画を習わせる傾向が強かったこともあり、島成園など女性画家が活躍しました。

島成園《祭りのよそおい》大正2年(1913年)大阪中之島美術館蔵
吉岡美枝 左:《ホタル》昭和14年(1939年) 右:《店頭の初夏》昭和14年(1939年)ともに大阪中之島美術館蔵

様々な画家が大阪に集い、独自の目線で大阪を見つめたからこそ、個性豊かな表現が開拓されていったことを展示室で実感しました。「古き良き大阪を残したい」「大阪らしさを表現したい」「大阪の新たな一面を見せたい」――。画家が込めた思いを想像すると、作品がより一層味わい深くなります。

「大阪の日本画」は大阪中之島美術館で1月21日(土)から4月2日(日)まで。東京ステーションギャラリーには、4月15日(土)から6月11日(日)まで巡回します。

(読売新聞美術展ナビ編集班・美間実沙)