ブルターニュ半島のカンペール美術館が所蔵するブルターニュに魅了された画家たちが描いた作品を紹介する展覧会「ブルターニュの光と風」がSOMPO美術館（東京・西新宿）で3月25日から6月11日まで開催されます。カンペール美術館の作品を中心に45作家、約70点の油彩・版画・素描の作品を通じて、フランスの内なる”異世界”ブルターニュを発見できるでしょう。

ブルターニュの光と風 －画家たちを魅了したフランス〈辺境の地〉
会場：SOMPO美術館（東京・西新宿）
会期：3月25日（土）～ 6月11日（日）
開館時間：午前10時～午後6時（最終入館は午後5時30分まで）
休館日：月曜日
観覧料：一般 1,600円、大学生1,100円、高校生以下無料
アクセス：新宿駅西口より徒歩5分
詳しくは、美術館のホームページへ 問い合わせ：050-5541-8600（ハローダイヤル）へ

深緑の海を臨む岬と嵐

フランス北西部のブルターニュ地方は、ケルト系の独自の言語や文化、大西洋に突き出た半島の荒々しい自然など、19世紀のフランスにおいて、ある種の「内なる異世界」として認識されていました。エキゾティシズムに満ちたこの地に集った画家たちは、深緑の海を臨む岬の絶景や岸壁に打ち付ける波など、激しい嵐の光景に魅入られました。

独自の宗教行事「パルドン祭」など独自の文化・風俗

4～6世紀にアングロ・サクソン人に追われたケルト系の人々がブリテン島からブルターニュ半島に移住してきて以来、フランス語とは異なる独自のブルトン語を話し、ケルトの伝統が色濃く残る風習を保ち続けてきました。

「さようなら、ゴーギャン」

ポスト印象派のゴーギャンは「原始的なもの」への憧れから、最終的にタヒチに渡りますが、その前段階としてフランス国内の異邦といえるブルターニュに赴きます。ゴーギャンは、そこでエミール・ベルナールやポール・セリュジエらと出会い、「ポン＝タヴァン派」が生まれま。さらにゴーギャンの教えをパリに持ち帰ったセリュジエは、ピエール・ボナール、モーリス・ドニらによる「ナビ派」誕生へとつながります。

20世紀に入り、フォーヴィスムやキュビスムなどの新たな前衛的な絵画表現によって、民族衣装姿の女性などブルターニュの典型的なイメージが繰り返し新しい様式で描かれました。

（読売新聞デジタルコンテンツ部美術展ナビ編集班　岡本公樹）