【プレビュー】「佐伯祐三 ―自画像としての風景 」展 東京ステーションギャラリーで1月21日から 大阪中之島美術館で4月15日から

佐伯祐三《郵便配達夫》 1928 年 大阪中之島美術館

佐伯祐三 ―自画像としての風景
東京会場:東京ステーションギャラリー
会期:2023年1月21日(土)~4月2日(日)
開館時間:10:00~18:00(金曜日~20:00)*入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(3月27日は開館)
入館料:一般 1,400円、高校・大学生 1,200円、中学生以下無料
大阪会場:大阪中之島美術館
会期:2023年4月15日(土)~6月25日(日)
休館日:月曜日(5月1日を除く)
開館時間:10:00~17:00*入場は16:30まで
観覧料:一般1,800円(1,600円)/高大生1,500円(1,300円)/小中生500円(300円)
( )は前売・団体、前売券販売は2023年2月15日(水)10:00から
詳しくは展覧会公式ホームページ(https://saeki2023.jp/)へ。

短くも鮮烈な生涯を終えた画家、佐伯祐三(1898~1928年)。《郵便配達夫》など、選りすぐりの代表作が一堂に会する回顧展「佐伯祐三 ―自画像としての風景」が東京ステーションギャラリーで2023年1月21日から4月2日まで、大阪中之島美術館で4月15日から6月25日まで開催されます。

大阪、東京、パリの3つの街に生きて、そして描いた佐伯。本展では、繊細で踊るような線描による一連のパリ風景はもちろん、日本で描かれた東京 ・下落合や大阪・滞船を描いた作品も紹介され、佐伯が発見した風景をとおして、佐伯芸術が花開いていく過程をひも解いていきます。

自画像としての風景

本格的に画業に取り組んだのはわずか4年、享年30歳で夭逝した佐伯が描いたのは、自身が生きる街を題材とした風景でした。画家自身の内面や、深い精神性を感じさせる佐伯の風景画は、画家自身を映した「自画像」とも、たとえられています。

プロローグ:自画像

画学生時代を中心に、多くの自画像を描いた佐伯。プロローグでは、ペンや鉛筆によるスケッチや東京美術学校の卒業制作のほか、1924年の劇的な画風の転換を示す象徴的な作品である、顔が削り取られた 《立てる自画像》が展示されます。

佐伯祐三 《立てる自画像》 1924年 大阪中之島美術館

第1章:大阪、東京

1926年から27年にかけて描かれた「下落合風景」 と「滞船」 のシリーズは、佐伯がパリから一時帰国した時代の作品です。自身も「絵にならない」とこぼし 、没後も長い間評価の得られなかった時代の作品ですが、パリで街景に向き合った視点を応用しつつ 、中空に伸びる線という新しい要素を見出しています。

21世紀になり、再検証と再評価がされていることを踏まえ、本展では、これらのシリーズを充実の点数で紹介します。

佐伯祐三 《下落合風景》 1926年頃 和歌山県立近代美術館
佐伯祐三 《滞船》 1926年頃 ENEOS株式会社

第2章:パリ

壁のパリ

1924年、フォーヴィスムの巨匠ヴラマンクに「アカデミック!」と一喝されたことをきっかけに、自らの作風の模索を続けた佐伯。1925 年、パリの下町の店先を題材に、重厚な石壁の質感を厚塗りの絵具で表現する独自の作風に至ります。圧倒的な存在感を放つ壁面の数々が印象的な《壁》や《コルドヌリ(靴屋)》など、この時期の代表作が並びます。

佐伯祐三 《コルドヌリ(靴屋)》 1925年 石橋財団アーティゾン美術館

文字と線のパリ

広告の文字と画面を跳躍する線描で描かれたパリの風景――。2 回目の渡仏直後の1927年秋から初冬に展開された様式は佐伯芸術の到達点のひとつです。代表作《ガス灯と広告》 や 「カフェ・レストラン」 連作で表現されている、繊細な線、画面を埋め尽くすポスターの文字、縦に引き伸ばされた人物、自らのサイズなどから、佐伯の内面や深い精神性を感じ取ることができるでしょう。

佐伯祐三 《ガス灯と広告》 1927年 東京国立近代美術館
佐伯祐三 《レストラン(オテル・デュ・マルシェ)》 1927年 大阪中之島美術館

第3章:ヴィリエ=シュル=モラン

1928年2月、佐伯は新たな造形を模索するため、パリから電車で1時間ほどの小さな村 ヴィリエ=シュル=モランへ仲間とともに写生旅行をしました。滞在中に描いた絵には、力強い線と構築的な構図が復活。しかし、寒さの厳しい村での制作は、佐伯の体力を奪っていきました。

佐伯祐三 《煉瓦焼》 1928年 大阪中之島美術館
佐伯祐三《モランの寺》1928年 東京国立近代美術館

エピローグ

3月にパリに戻った佐伯の体調は悪化し、8月にパリ郊外の病院で30歳の若さで亡くなります。佐伯の絶筆といえる3月頃の制作作品として、《郵便配達夫》やロシアの亡命貴族の娘をモデルとした室内人物画に加えて、わずかに体力が回復した時に戸外へ出かけて描いた2枚の扉の絵が残されています。

佐伯祐三 《郵便配達夫》 1928年 大阪中之島美術館

東京会場と大阪会場

東京では18年ぶりの佐伯祐三の本格的な回顧展。会場の東京ステーションギャラリーは、佐伯と同時代の1914年に創建された東京駅丸の内駅舎内にあり、当時の構造レンガがそのまま展示室に生かされている会場は、佐伯の作品を味わうのにふさわしい空間です。

大阪中之島美術館は、約60点にのぼる日本最大の佐伯祐三コレクションを有します。佐伯の”本拠地”といえる同美術館で開催される初の大回顧展です。
(読売新聞美術展ナビ編集班)